ドイツ若者政策の書籍出版のためのクラウドファンディングのお願い

昨年秋に実施したドイツ視察に基づき「(EU)ドイツ若者政策」の報告書を本として出版する予定です(ただ今鋭意まとめ中)。資金不足のため、クラウドファンディングを通じて、皆様のご支援をお願いできれば幸いです。主にEUおよびドイツの若者政策、若者の利益を代弁するロビーイング団体、政治教育や生徒会、ベルリンのパンコウ地区の取り組み、ICTを活用した若者参画などについてまとめています。

どうぞよろしくお願い致します。

詳細はこちらから→Ready Forのリンク

Ready for のフロント写真

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー本の概要ー

第 I 章 調査の概要をまとめ
第 II 章 ドイツの概要
1. ドイツの連邦制(GERMAN FEDERAL SYSTEM)
2. 政治制度(POLITICAL SYSTEM)
3. 学校教育制度(SCHOOL SYSTEM)
第 III 章 EUの若者政策(EU YOUTH POLICY)
第 III 章 ドイツにおける選挙権年齢の引き下げ動向(LOWERING VOTING AGE)
第 IV 章 ドイツの若者政策(GERMAN YOUTH POLICY)
1. 連邦政府の現行の法的枠組み(GERMAN YOUTH POLICY FRAMEWORK)
2. 新しい独立した若者政策の枠組み(INDEPENDENT YOUTH POLICY)
第 V 章 ドイツの若者団体・若者支援団体(Youth ORGANIZATIONS and Associations)
1. 連邦若者協議会 (GERMAN FEDERAL YOUTH COUNCIL:DBJR)
2. ベルリン州若者協議会(REGIONAL YOUTH BERLIN)
3. 国際ユースワークのためのセンター(IJAB)
4. 社会民主党青年部(JUSOS)
5. ベルリンパンコウ区の子ども•若者参画(BERLIN PANKOW DISTRICT)
第 VI 章 ドイツの政治教育・生徒会(GERMAN CIVIC EDUCATION AND STUDENT COUNCIL)第 VI 章 ドイツの政治教育・生徒会(GERMAN CIVIC EDUCATION AND STUDENT COUNCIL)
1. ドイツの政治教育の概要
2. 学校内での政治教育の内容
3. 政治的中立性(超党派性)の考え方
4. 連邦政治教育センター(BPB)
5. 生徒会支援協会(SV-BILDUNGSWERK)
6. フリードリヒ・エーベルト財団 (FES)
第 VII 章 日本への示唆

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(告知)EU•ドイツ 若者政策の視察報告会

イベントの告知です(ブログが告知版みたいになっていて恐縮ですが笑)。

2014年12月20日(土)に「EU•ドイツの若者政策視察報告会」を実施します。

今年9月に実施したドイツの訪問視察の内容を凝縮してプレゼンで紹介します。その後に参加者を交えたワークショップで個別テーマについて意見交換できればと思っています。参加者は30名くらいを想定していますので、ゆったり顔の見える感じです。

今回の報告会の注目点は、(選挙を通じた)間接参画よりも直接参画の促進です。日本では、政治参加というと投票をイメージされる人が多いかと思います。それも大事ですが、本当に政策を変えたいと思うのであれば、日常的に社会や政治に対して関わりを持ち、働きかけていくことが大事なんですね。当たり前ですが。

 スウェーデンでもドイツでも若者団体が連携組織化し、政府に対して若者の意見を集約し、反映させるように政策決定者に働きかける、まさにロビーイングと呼ばれる活動を日々行っています(ex 生徒会連合、様々な若者団体、若者協議会、学生自治連合、政党青年部、若者スポーツ連合、若者支援福祉協議会)。

 日本では、地域自治会や業界団体などの働きかけによる影響力は強いですが、若者による若者のための利益団体というのは少ないです(共産党の青年部とかかなw)。若者はどのようにロビーイングに関わっているのか、また行政や政治はどういう支援をしているのか、日本ではどういう活動が求められているのか、共有できれば幸いです。

(なお、ハイライフ研究所の特設サイトでプレゼン映像も公開しています。ご興味があればこちらのリンクをご覧下さい)

イベント日時

  • 日時:12月20日(土)13:30~16:00(受付開始13:15)
  • 場所:TKP新宿駅前会議室 カンファレンスルームB1B
    新宿駅西口徒歩5分(西口・中央西口から地下直結)
    新宿区西新宿1-7-2 スバルビルB1F
  • 参加費:1,000円(学生は500円)
  • リンク:http://www.rights.or.jp/archives/2014/11/post.html
  • 応募連絡先(私):gushiken17@hotmail.com
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カナダの有権者は早期解散を決めた首相にバツを与えたか?

 首相は、議会任期が2年弱も残っているのに、突然、下院の解散を宣言しました。
 国会がねじれているわけでもないにも関わらず、首相が交代したわけでもないのに、なぜ今、下院の解散、総選挙なのでしょうか?
 怒った国民は、解散を決めた首相に対してお灸を据えたいと思いました。でも、野党はなんだか準備不足で頼りない。どこに投票しようか? 有権者はあれこれと考えた結果、結局、与党に投票しました。与党が圧勝し、再び政権党になりました。

 さて、これはどこの国の話だろう? 当然、日本?

 実はカナダで起きた話である。

 2000年10月、カナダではジャン•クレティエン率いる自由党(中道左派)が政権を担っていた。カナダの下院議会の任期は5年だったが(現在は4年)、クレティエン首相は、3年4ヶ月という異例の短さで解散総選挙を宣言した。世論調査で自党の支持が高かったのと、野党第一党のカナダ同盟(保守連合)は新しいリーダーのデイを選出したばかりで選挙準備が出来ていなかったという理由からだ。また、クレティエン首相には党内ライバルから引退せよとの声が出ていたため、党内基盤強化の意図があったともいわれる。

 メディアや野党はこれを痛烈に批判した。カナダの大手紙National Postは「なぜこんなに早く総選挙なのか? クレティエン首相は、優れた生存本能の持ち主で、早期解散によって準備不足の野党を出し抜き、党内のライバルを蹴落とそうとしている」と社説でこきおろし、その他のメディアも同様に早期解散について批判を展開した。

 しかし、フタを開けてみれば、対抗馬の保守陣営がまとまらない中、与党自由党は前回選挙を上回る議席(57%)を獲得し、圧勝という結果に終わった。

 この話のネタは「カナダの有権者は早期解散を決めた首相にバツを与えたか?」という論文[1]のケーススタディを要約したものだが、同論文の結論は「早期解散への怒りによって(本来は与党に投票するはずだが)与党に反対を投じた人はたったの1%に過ぎず、ほとんどの人は怒りを覚えつつも他党の比較によって与党を選んだ」「お灸を据えるという効果は限定的だった」というものだった。

恣意的な早期解散をしても咎められい不思議な日本

 今回(2014年11月21日)の安倍首相による早期総選挙は、野党の準備不足のうちに政権を4年間延長させるための解散であり、民主主義の安定性の観点からは批判されるべき行為である。ただ、カナダの事例でも見たように、野党側に選択肢がなければ、与党にお灸を据えることは現実的には難しい。だからこそ、こんな国民を無視した早期選挙は二度と起こさせてはいけない、という点は心に明記しておくべきだし、それだけに留まらず、こうした無秩序な解散が許されている現行の法体系の変更、そのための具体的な提案を行うべきだろう。

 世界的に見ても、首相が自由に早期解散できる先進国はそれほど多くない。カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、デンマーク、日本くらいでむしろ少数派である。下記の表は、議会の任期の固定度を表したものである(セミ固定に分類された国では、不信任決議等が出されるなど一定の条件を満たした上で早期選挙が可能となる)。

 表:議会任期の固定度(主に議員内閣制の国)

議会任期の固定化度

    ※出典:英国憲法委員会の報告書[2] 、Henri Milnerの報告書[3]を中心に改変

 また、任期固定のない国でも、ニュージーランド、オーストラリアでは固定化に向けた審議が進められており、カナダでも州では固定化を採用するところが増えている[4]。また、英国も少し前までこのグループに属していたが、2011年に「議会任期固定法」[5]を制定することで、首相による「伝家の宝刀」を実質制限することとなった。

 カナダ人の政治学者で市民教育の専門家でもあるヘンリー•ミルナーは、議会任期を固定化することにより、首相の恣意性の制限、全体の選挙関連予算の削減だけでなく、準備期間の確保による政策議論、若者を含めた市民討議の充実による投票率向上に繋がると主張している。もちろん、解散権の制限によるマイナス点もあるが(ex ねじれ状態の宙づり化、選挙キャンペーンの長期化)、全体的には良い影響の方が大きいだろう。

 政治とは武器を使わない戦争であり、政治家は勝つためなら手段を選ばない生き物である。だからこそ今回の事例を教訓として、恣意的な早期解散を制限できるようなルールを作っていかなければならない、と思うのである。

[1] André Blais et al ,”Do (Some) Canadian Voters Punish a Prime Minister for Calling a Snap Election”, POLITICAL STUDIES: 2004 VOL 52, 307–323

[2] UK Parliament House of Lord Constitution Committee Report (2010):http://www.publications.parliament.uk/pa/ld201011/ldselect/ldconst/69/69.pdf

[3] Henry Milner, “Fixing Canada’s Unfixed Election Dates (2005):http://irpp.org/research-studies/policy-matters-vol6-no6/

[4] カナダ議会のホームページの資料(2014時点):http://www.parl.gc.ca/parlinfo/compilations/provinceterritory/ProvincialFixedElections.aspx

[5]国会図書館の報告書(2011):http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_4023707_po_025402.pdf?contentNo=1

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(告知)11月12日、18歳選挙権の実現を目指す国会シンポジウム

今週の11月12日(水)に「18歳選挙権を実現させる国会シンポジウム(@衆議院議員」という主要政党の国会議員を交えたイベントに参加します。

主要政党の国会議員に公職選挙法の改正の速やかな実施を要請すること、また「18歳選挙権」実現後の政治に関わる教育や行政のあり方について議論します。

私は9月に実施されたドイツのブランデンブルグ州選挙について現場映像とともにプレゼンテーションで紹介する予定です(ブランデンブルグ州では今回の州選挙から16歳の高校生も投票できるようになり、若者主導による様々な投票促進プロジェクトが実施されました)。当日は、高校生や大学生を中心に若い人もたくさん参加します。ご関心のある方はぜひご参加いただければと思います。よろしくお願いします。

詳細は下記のとおりです。

【11/12【Act18】18歳選挙権を実現させる国会シンポジウム】

11月12日に国会内で行う「【Act18】18歳選挙権を実現させる国会シンポジウム」のご案内です。

今国会に「18歳選挙権」実現のための公職選挙法改正案が提出される方向で進められており、こうした中、2016年参議院選挙から「18歳選挙権」が確実に実施される事をめざし、政策課題が山積する通常国会で、公職選挙法改正案が成立するのか、また、欧州の若者参画政策や政治教育の先進事例の報告を元に、「18歳選挙権」実現後の日本の若者を取り巻く課題とその解決策について考えます。

【日時】2014年11月12日(水)午後5時半から午後7時半
【場所】衆議院第二議員会館1F多目的会議室(定員140名)
【参加者】高校生・大学生はじめ、一般
【内容】

第1部 海外の先進事例から日本のこれからの若者参画を考える
ドイツ先進事例報告 ※選挙権年齢の問題、その他、政治教育・若者の参画等
原田謙介 NPO法人Youth Create代表理事
小串聡彦 NPO法人Rights副代表理事
第2部 国会議員シンポジウム
船田 元 衆議院議員(自民党)
北側一雄 衆議院議員(公明党)
渡辺 周 衆議院議員(民主党)
馬場伸幸 衆議院議員(維新の党)
西野弘一 衆議院議員(次世代の党)
水野賢一 参議院議員(みんなの党)
ほか

※詳しくは、「ACT18」ホームページをご覧ください。
http://act18.jp/?page_id=115

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ユトレヒト市の「学生起業党」

二ヶ月前にドイツで開催されたG20ユースフォーラムというイベントに参加し(以前記事を 参照)、オランダのユトレヒト市で「学生起業党(Student&Starter)」を立ち上げたスティーブンという学生(24歳)と出会った。2014年3月の市議会選挙で1議席(得票率3.8%)を獲得し、大学生と市議会議員(兼業議員)として活動している。

オランダでは、複数の大学都市(デルフト、フローニンゲン、アムステルダム)で学生の運営する学生党が存在するが、ユトレヒト市では彼が立ち上げるまではなかった。ここではスティーブンという学生とユトレヒトの学生起業党について簡単に紹介したい。

学生起業党党首のスティーブン・メンケ

Steven Menkeユ トレヒト市は、人口約25万人に対し、18歳~26歳までの学生数が約6万人近くいる大学都市である。そこで勉強するスティーブンは、細身で180cm以上の背丈、さわやかで優等生オーラの漂う24歳の若者である。

彼は、経済学と人文学を専攻しながら、大学組合の執行部の一員として学生の学習•生活環境の向上のための活動に関わっていた。そのときに学生向けの住宅環境、自転車関連インフラ(自転車道や駐輪場)、大学卒業後の雇用や起業促進の環境整備が不十分であると感じるようになった。そして、ユトレヒト市では人口の4分の1弱を学生が占めるにも関わらず、市議会での政策には学生の意見が十分に反映されていない、市の政策決定者は学生を数年ごとに入れ替わる「お客様(Guest)」として見るだけで、ユトレヒト市の大事な市民の一員として扱おうとしていない、と。

Student &Starterの設立

Logo-Student-Starter-300x124Student &Starterのホームページ

スティーブンは、2013 年春に若者による若者のための政党の立ち上げを模索し始める。オランダの市議会選挙は比例代表制であるが、スウェーデンやドイツのように少数政党の乱立を防ぐための得票率の上限(前者は4%、後者は5%)が存在しないため、市議会議員になるためには最低限の得票数さえ獲得すれば良い。

前回のユトレヒト市議会選挙の投票率は50%で、1議席確保に必要な得票数は2800票だった。彼は、ユトレヒト市内の学生6万人のうち、1万人の支持を集めれば、約3議席を確保できると予測し、このプロジェクトを支持してくれる若者(及びそれを応援してくれる大人)に声をかけ始めた。その後、集まった仲間と一緒に政策提言(マニフェスト)をまとめ上げ、選挙戦に向けた準備を進めた。また民主的手続きの正当性を高めるため、党の会員で予備選挙の実施を決定。会員の中で選挙に出たい人が党内選挙を戦い、その結果に従って名簿リストを作成した。最終的にはス ティーブンをトップ候補者とした20人の名簿が出来上がった。

選挙キャンペーンでは、主に若い世代や学生を対象とし、ツイッタ―やフェイスブックなどのSNSのPR活動にも力を入れた。英語のマニフェストも公開し、外国人の学生も参加できるようにした。その結果、2014年3月の選挙では1 議席を獲得、当初目標としていた3議席には届かなかったが、市議会と学生を繋ぐ架け橋を作ったことには意味がある。スティーブンは、市議会の本会議を傍聴する若者の参加が増えたと言う。

Student Starter CandidateStudent&Starterの選挙名簿

学生政党のあり方と意義

スティーブンは、学生起業党の市議会議員は必ずしも4年の任期を全うする必要はなく、1年か2年以内に他の学生に議員を交代したいという。特に大学生は、海外留学、インターン、就職などで移動の流れが早いため、期間限定で議員経験を積めた方が参加しやすい。一方、有権者の側も学生党の立候補者が4年間議員として任期を全うすることをそもそも期待していない。学生政党として公約した政策を進めてくれれば良いのであって誰がやるかは大した問題ではないとされている。

もちろん、任期途中で議員をスムーズに入れ替えるためには、党内の民主的で透明性のある意思決定過程に加え、人材の育成•引き継ぎの仕組みが求められる。スティーブンによる学生党の設立の試みは成功したとしたとしても、その後を有能な学生にバトンを渡せなければ、組織は死ぬ。

欧州の若者は既存の大手政党の青年部組織の代表として議員になるケースが多い。しかし、特に若者世代の既存政党への違和感は強くなっており、社会や政治に関心はもっていても、(閉鎖的で近寄りがたいというイメージの)政党に加入するという選択をする人は少なくなっている。むしろ、ある特定の課題を解決するための小規模のNPOや地域団体により魅力を感じる若者が増加する傾向にある。

そのため、学生起業党は、地域の学生や若者の利害の代弁を第一の目的としており、同年代の若者が運営しているという意味では近寄りやすいだろう。今後、スティーブン、ユトレヒトの学生起業党がどういう変化を遂げてゆくのか注目したい。

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ドイツ視察ツアーの参加者募集

ブログに告知をするのを忘れていました。応募締切が週末の日曜日なので直前になって申し訳ないのですが、2014年8月31日から9月6日の日程(中5日)で、ドイツ若者政策(特に参画政策)に関する視察ツアーを実施します。高校生と大学生の参加者には最低10万円援助します。若者政策という分野についてはEUおよびドイツは組織的かつ先進的な取り組みを進めているのでぜひ若い人にこそ触れてほしいと思っています。下記のリンクはこちらです。よろしくお願いします。

ドイツ視察ツアーの趣旨

NPO法人Rightsでは、ドイツの若者政策およびシティズンシップ(政治)教育の取り組みの研究調査、また現地の若者団体で活躍するドイツ人の若者とのネットワーク構築を目的とし、2014年8月31日〜9月6日の日程(中5日間)でドイツ•視察ツアーを実施します。

ドイツでは、若者団体(学校組織、地域団体、スポーツ組織)が連邦政府、州や市町村の自治体における立法過程や社会的意思決定過程に関与し、若者の 利害を反映させる仕組みが整えられています。また、連邦市民教育庁の管轄の下 、将来を担う若い世代に対して政治教育プログラムを積極的に推進する一方で、民間団体の主導による大規模な模擬選挙の実施や、政党財団による子供向けの具 体的な政治に関する情報提供なども行われています。それに加えて、ドイツ政府は、若者施策の一体的な推進を図るための新しい若者政策の枠組みを作成してい ます。

一方、日本では、18歳選挙権の実現に向けた動きが本格化するに伴い、シティズンシップ教育のあり方の模索が進んでいます。また、2015年には「子ども •若者育成推進法」の見直しも予定され、日本の若者に関わる政策環境も日々変わりつつあります。今回の視察では、ドイツにおける若者参画の現状•事例を行 政•民間の両面から調査研究することで、より良い日本の若者政策に向けた示唆を得たいと考えています。

高校生および大学生の参加者には、参加費用の助成も予定しておりますので、ふるってご参加ください。

◇視察日程
2014年8月30日(日)成田発〜9月7日(日)成田着(訪問先の決定次第)

◇訪問候補先(別紙1を参照)
<連邦レベル> 家族省、連邦市民教育庁、連邦若者評議会、連邦生徒会組織、クムルス(模擬選挙実施団体)、政党財団、政党青年部
<州レベル>  州政治教育センター、若者団体、自治体
<市町村レベル> 現地高校、市町村の自治体、若者団体

◇視察後の予定
•ドイツの若者政策及び政治教育に関する報告書の発行
•現地のビデオ映像を踏まえた視察内容の映像プレゼンテーション
•ワークショップを含めた視察報告会

参加者募集

◇参加者人数
<最大15名> 現在Rights関係者など7名が訪問確定

◇参加者対象
<高校生•大学生および社会人>
<子ども•若者政策に関わっている方、興味•関心を持つ方>
<海外の若者団体とのネットワーク構築に関わりたい方、興味•関心のある方 >
<これから日本の若者政策に関わっていきたい方>

◇参加費用の概算
<高校生•大学生>
10〜25万円:航空券15〜25万円+滞在及び移動5〜10万円−特別助成10万円
(※高校生•大学生の最低2名を対象に各10万円を助成。寄付金等の状況により助成追加の可能性あり)
<社会人あるいは金銭に余裕のある人>
25〜45万円:航空券15〜25万円+滞在及び移動5〜10万円+ドイツ語通訳分担5〜10万円
(※社会人あるいは金銭に余裕のある方にはやむを得ず負担をお願いする可能性があります)

◇応募方法
<応募フォーム> 参加者紹介、志望動機等の記載(⇒フォーマットは下記の別紙2 )
<応募多数の場合の選考指標> 1.当該分野への関心 2.過去の活動 3.将来の可能性
<応募締切> 2014年7月27日(日)17時までに office@ rights.or.jp (@の後を一文字詰めてください)まで応募フォームを添付

添付資料

募集要項
訪問候補先(別紙1)
応募フォーマット(別紙2)

その他

◇協賛協力団体
ハイライフ研究所(公益財団法人):都市生活を主なテーマとした研究所

◇問い合わせ先
<ドイツ視察ツアーに関する問い合わせ>
Rights副代表理事•ツアーコーディネーター
小林庸平 office@ rights.or.jp (@の後を一文字詰めてください)

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ベルギーから再び日本へ

 週、ブリュッセルから日本に帰国しました。ちょうど帰国日に犬の出来たてのホカホカのうんこを踏んだり、パスポートを一時的に紛失し、購入済みの飛行機チケットが紙くずになる(つまり12万円のチケットを再購入することになった)などの度重なる悲劇に見舞われました。最終的には、バスで落ちていたパスポートを見つけてくれた親切なベルギー人がわざわざ日本大使館まで送り届けてくれて助かりました。再発行もする必要なく無事に帰ってこれました。無くなったパスポートあれば、拾ってくれる神あり。感謝です。

 さて、これからしばらくは日本をベースに生きていこうと思っていますが、とりあえずは千葉の実家にパラサイトしながら今後の方向性を考えていく予定です。もう気がつけば27歳、自分で生きれるだけのお金はさすがに稼がないといけないので、日EUなどの政策関連の調査やコンサルの仕事などの可能性も探しつつ、頑張っていきます。

 実は日本の夏は4年振り。日本の夏は暑いから帰りたくない、部屋は蒸しサウナで激やせするとか戦々恐々していましたが、そんなに思ったほど暑くない? 私の中での日本の夏はもう汗だくだく、暑すぎて動けないといった記憶があったので、これならまだまだ行けるという感じです。たぶん、8月に入ってセミが鳴き始めたころから苦しくなると思いますけど、こうしたキツい時期を通り過ぎてこそ、日本の四季の素晴らしさが実感できるというもの。気合いとクーラーで頑張ろう。

 では、ベルギーの思い出を最後にいくつか。

 ベルギーでは北部のフランダース地方に行くことが多かったが、その中でもゲント市はすごくお気に入り。町がすごく完成されていて、自転車関連インフラも整備されている。夏には10日間ぶっ通しの音楽フェスティバルもある。昔は自動車だらけの運河も今ではすっかり綺麗な広場に。

ゲント

  チキンとお芋を煮込んだ郷土料理のワーテルゾーイも美味しい。

ワーテルゾーイ

 あとやっぱりビールね。これは有名なデュッベル(Duvel)のトリプルのHopというもの。三種類のホップを使っていて、毎年三つ目のホップは違うものを混ぜる。2013年は日本のもの、今年はアメリカのものを混ぜて使ったらしい。アルコールは強いが、美味い。

Duvel のTripel Hop

 次のはホームパーティーの写真。私が居候していたオーストリア人の友人宅にはなぜかベルギーサッカー代表のカップがたくさん。この日もWカップでベルギーを応援する雰囲気を醸し出しています。

ベルギーチームを応援

 最初にアルコールの強いWestmalleの修道院ビール(トラピストビール)を飲んで、野外発酵(Lanbic)の酸っぱ甘いビール(FARO)か普通のヒューガーデン(小麦ビール)がベスト。あとワールドカップの試合を観戦するときにはプリングルスのオリジナル。

プリングルスとビール

 また、会社の友人の旦那さんのお兄さんのBBQパーティーに参加させてもらったら、その場所はあのベルギービールの発祥の地でした。そう、ヒューガーデンです。ブリュッセルから30分くらい離れた学生町ルーベンからさらに20分くらいのかなりの田舎町です。

 醸造所らしきところにヒューガーデンのビールタンクを発見し、テンションが急上昇。ジャグジをひねれば、ビールが出てきそうだ。

Hoegarden tunk というわけで、BBQの途中で専用ビアガーデンに立ち寄る。ヒューガーデンは相変わらず安定の美味しさ。これならいくらでも飲める。

Hoegaarden  最後のは友人宅で頂いた種無しのスイカ。果物は日本産が美味しいとか思っていたが、スイカに関してはユーロッパのレベル高い! これはスペイン産で相当美味い。でもたぶん一番クオリティーが高いのはギリシャ産。どれを食べても異常なほど甘いのだ。

スペインのスイカ というわけで、ベルギーの滞在も終わりです。さいなら。

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幻のベルギービールを発見

ルギーに来てから、世界一美味しいという幻の修道院ビール(トラピストビール)があるという噂を何度か耳にした。ベルギーのある修道院で手に入るらしいが、その地域に行かないと手に入らない、スーパーやレストランへの卸売・小売はしていないとかそういう話だった。私はビールにはそんなに拘りはないし、そもそもベルギービールはどれも美味しいから、そんな幻のビールのことなどすっかり忘れていた。

そんなある日の夕方、友人らと、ブリュッセルの中心地からバスで15分くらいにあるピザ屋に行った。こじんまりとしたお店で、食べ物はピザとサラダしか置いていなかった。ビールブランドのメニューを上から下にズラッーと眺めると、一番下のほうに10ユーロ(1400円)〜15ユーロ(約2100円)のものがあった。

「15ユーロ?」

他のビールは3ユーロ〜6ユーロなのに、これだけ15ユーロだった。いくら何でも高いと思い、ビール名を詳しく見てみると、「ウエストフレデレン(Westvleteren)」と書いてある。友人に聞いてみると、なんと、あの幻のビールの名前だった。偽物? 闇マーケット? 何となく釈然としなかったが、この機会を逃せば、もう飲む機会はやってこないと思い、とにかく皆で注文することにした。

ウエストブレフテン

このビール瓶は普通の黒茶色のもので、瓶のさきっちょに文字が浮き上がっている以外は何の特徴もない。ザ•シンプル。中身はやや白みがかった黄金色のビールで、他のブロンドビールとあまり変わらない。肝心の味は、苦みよりも甘みが強くて、何となく固い感触だった。おそらくブランドイメージによる脳内作用のせいだろうが、ほんと美味かった。

ウエスト

 幻のビールが幻ではなくなった瞬間!

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トップ立候補者による選挙キャンペーンは欧州議会選挙の投票率を上げたのか?

 欧州議会選挙から6日が経過し、ほぼすべての選挙結果が出揃ってきた。選挙結果の主な見どころ(投票率、欧州委員長の人選、議会運営への影響)についてはほとんど前回記事でまとめたとおりだが、今回の記事では投票率の結果について分析してみたい。

  =====================================

 欧州議会選挙は、国政選挙に比べて投票率が低く、加盟国の数が増えるにつれてその傾向は加速している。1979年に61.99%だった投票率は、2009年には過去最低の43%に低下した。今回の2014年の選挙では、43.9%となり、過去最低記録の更新にはストップがかかった。しかし、あくまで前回選挙の43%から43.09%と0.09%(!)上がっただけで、微妙な結果だった。

表:欧州議会選挙の投票率の変化(1979年―2014年)

欧州議会選挙の投票率(経年)

2014年の欧州議会選挙のポイントは、歴史上初めて、主要欧州政党のトップ立候補者(5人)同士が欧州委員会委員長(いわば総理大臣)の座を巡ってTV討論会を行い、議会で多数を確保するべく選挙キャンペーンを展開したことである(いわゆるSpitskandidatenシステム)。これにより、自分の一票がどう結果に反映されるか、EUの政策方針に影響を与えるかが見えやすくなり、投票率も上がるはずだった。でも、全体の投票率の向上にはつながらなかった。

では欧州政党のトップ候補者による選挙キャンペーンに意味はなかったのだろうか? 投票率が上がらなかったという結果から「欧州政党のトップ候補者による選挙キャンペーンに意味がなかった」と結論するのは早計である。なぜなら、欧州全体ではほとんど変わらなかったものの、加盟国別にみると、投票率の向上している国とそうでない国でかなり顕著な差がみられるからだ。

2009年―2014年の投票結果(投票率と増減)を加盟国別に見てみると、次の表のとおり。

表:欧州議会選挙の投票率の変化(2009年と2014年の増減)

欧州議会選挙の加盟国別の投票率(2009‐2014)

出典: 欧州議会のホームページ 

ここから読み取れることは下記の通り。

  • 欧州議会選挙の投票率がEU平均(43%)を下回る国は、主に東欧の国々+アルファ(スロバキア、チェコ、スロベニア、ポーランド、クロアチア、ハンガリー、ラトビア、ルーマニア、ポルトガル、ブルガリア、英国、エストニア、オランダ、フィンランド)
  • ベルギーとルクセンブルグは投票義務が課せられているため例外的に投票率は高い(90%)
  • リトアニアの投票率は大統領選挙と重なったため例外的に高くなっている(44.9%)
  • 投票率の上昇がみられたのは11カ国:リトアニア(+23)、ギリシャ(+5.6)、ドイツ(+4.6)、ルーマニア(+4.5)、クロアチア(+4.2)、スウェーデン(+3.3)、フランス(+2.9)、フィンランド(+2.3)、英国(+1.3)、スペイン(+1.o)、オランダ(+0.3)である。
  • 投票率の下落がみられたのは17ヵ国:オーストリア(-0.3)、ベルギー(-0.4)、ルクセンブルグ(-0.8)、ポーランド(-1.8)、ポルトガル(-2.3)、デンマーク(-3.1)、ブルガリア(-3.5)、マルタ(-4.0)、イタリア(-5.1)、スロバキア(-6.6)、アイルランド(-7.5)、ハンガリー(-7.4)、スロベニア(-7.4)、エストニア(-7.5)、チェコ(-8.7)、キプロス(-15.4)、ラトビア(-23.7)

ここから大きな傾向として見えるのは、主にEUの西側諸国、特にトップ候補者による公開討論会を多く実施した加盟国(ドイツ、フランス)では投票率の上昇がみられ、逆にもともと低かった東欧諸国ではさらに顕著に低下した、ということである。こうなった要因には、おそらく欧州議会の欧州政党のトップ立候補者が西側諸国出身者が独占してしまったことがある。ドイツでは、マーティン・シュルツ(社民党)やスカ・ケラー(緑の党)がTV討論会を実施し、全国で選挙キャンペーンを積極的に展開した。また、フランスでもクロード・ユンケル(人民党)、マーティン・シュルツがフランス語で同様のキャンペーンをした。ギリシャで、アレクシス・シプラスが左党代表としてギリシャ語で訴えた。しかし、こうしたトップ立候補者によるキャンペーンは東欧諸国ではほぼ皆無であった。

つまり、トップ候補者による選挙キャンペーンは非常に意味のあるものだったが、その人選が西側諸国出身者に偏っていたため、東欧諸国には届かず、投票率の底上げには繋がらなかったといえる。次回(2019年)の欧州議会選挙で投票率を上げるためには、東欧諸国からの立候補者(カリスマ性があって何ヵ国語も話す人材)を選出することが求められるだろう。

(追記1:EU全体で民主主義を実現することの難しさは、トップ立候補者のTV討論会を見ていてよくわかった。立候補者は、英語、フランス語、ギリシャ語を使っていた。フランス語、ギリシャ語では通訳が入ったが、正直、通訳を介したディベートほど面白くないものはない。おそらくEU内の英語を母語としない視聴者の多く(つまり英国人とアイルランド人以外)は英語ではなく、自分の言語で視聴したことになる。そうすると、ディベートの面白さはさらに半減してしまうのである)

(追記2:西側諸国の投票率の向上の背景には新しい選挙キャンペーンの方法があると書いたが、これは一つの要因に過ぎない。投票率の向上がみられたほとんどの西側諸国で、極右政党及び急進右派政党が議席を獲得している。むしろ、こうした急進的政党の動員効果の方が大きかったという説明もできないことはない。ただ、それらを証明することは難しい)。

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欧州議会選挙2014で何が変わるのか?

 2014年5月22日~25日に第8回欧州議会選挙の投票が行われている。欧州議会選挙は、加盟国の人口に応じた数の代表者を直接選出する汎欧州選挙である。ブリュッセルの欧州委員会本部の建物には「今回の欧州議会選挙は一味違う(This time it’s different)」というPR広告が掲載されている。今回の欧州議会選挙の見所をまとめてみたい。

This time its different
ポイント①:欧州議会の多数派政党から欧州委員長が選出されるか?

 2009年のリスボン条約以後、欧州議会は、通商政策分野での承認決定手続き、漁業や農業、一部の司法分野での立法手続きに関与できるようになっており、EUの政策決定に欠かせない立法機関となっている。また、これまでは執行機関である欧州委員会の委員長(事実上のEU首相)をEU理事会(28加盟国で構成される立法組織)が任命していたが、リスボン条約は「欧州議会選挙の結果を考慮しなければならない」と規定しており、欧州議会で多数派を形成した欧州政党の代表者が委員長となる可能性がある。

 議会制民主主義の国であれば、議会で多数派を形成した政党の代表がそのまま執行部の長である総理大臣になる(例えば、日本では自民党が衆議院で勝てば、安倍さんが首相になる)が、EUでは欧州議会の選挙結果は行政部のトップの選出には直接的には反映されてこなかった。だが、今回は歴史上初めて、欧州議会の主要5政党は自前の代表者を選出し、選挙キャンペーンを展開することとなった。主要4~5政党の代表者による公開討論会も開催してきた。欧州社民党の代表者のマーティン・シュルツは「もしもEU理事会が欧州議会の選挙結果を考慮せずに委員長を任命する場合には、欧州議会はその委員長候補者に対してNOを突き付けることになる」と述べている。

 ただ、欧州人民党代表のクロード・ユンカーは明らかな賛成を示していない。欧州人民党の中には欧州議会による委員長の選出を支持する議員はいるが、欧州社民党、欧州自由党、その他の左派政党が40%近くの議席を取らなければ、拒否権の発動はできない。また、欧州社民党のマーティン・シュルツは個性が強すぎるため、EU理事会からも欧州議会の右派政党からも好かれていない。クロード・ユンカーも「連邦主義者」色が強いため、現実的に考えると、欧州議会からの委員長選出は難しいといえる。

 (追記:選挙結果により欧州人民党が28%で多数勢力となったため、クロード・ユンカーが欧州議会推薦の最有力の委員長候補者となった。しかし、既に英国、ハンガリー、スウェーデン、オランダは公然と反対を唱えている。EU理事会は特別多数決(加盟国の割当票の74%の賛成)で決めないといけない。スペインやポーランドが反対に回ればユンケルの任命はなくなる。一方で、欧州議会はユンカー以外が任命されれば承認しないと脅しをかけており、任命を巡る対立は長引く見通し)

p28-European-elections

ポイント②:欧州議会の投票率は上がるのか?

 欧州議会選挙に対する関心は決して高いとはいえず、前回2009年の投票率は43%だ。そもそも欧州議会の政策決定プロセスに果たす役割、それぞれの欧州政党の理念や政策の違いについてもあまり理解されていない。欧州議会選挙はあくまで加盟国政府に対する「中間審査の場」に過ぎず、有権者にとってはどこか遠くの、よくわからないものとして扱われている。

 しかし、EUがいかに日常生活に大きな影響を及ぼすかについては、2010年の経済危機以後に強く理解されるようになった(と考えられる)。特に加盟国が権限を持っているはずの経済財政政策についても、EUレベルで緊縮財政の方向性が敷かれるようになった。ギリシャ、スペイン、ポルトガル、ギリシャなどの南欧諸国では加盟国政府が変わっても、財政政策は変えられないのだ。

 ブリュッセルの政策方針を変えるためには欧州議会選挙は最も有効な意思表示の場である。上記で紹介したように、欧州議会の主要政党はそれぞれ欧州委員長候補者を明らかにしており、経済財政、雇用、貿易などを含む政策についての公開討論会を展開してきた。緊縮財政VS財政支出について各立候補者の立場が明らかになり、また多数を獲得した政党の立候補者が欧州委員長になる可能性があれば、「ブリュッセルの方針は変えられる」という感覚が高まる。こうした期待が生まれれば、欧州議会選挙に参加する気にもなり、投票率の向上に繋がると考えられる。

 ただ、劇的に投票率が上がるわけではない。そもそも一般の人には欧州政党の代表者の名前も顔もそこまで浸透していない。国政選挙であれば、主要政党の党首の顔や名前を知っている人は多いはずだが、欧州選挙でどこまでの人が「マーティン・シュルツ(社民党)」、「クロード・ユンカー(人民党)」、「ガイ・べホシュタッド(自民党)」を知っているだろうか? おそらくほとんど知らないだろう。加えて、新聞やTVのマスメディアも基本的には加盟国の政党の政局や政策論議に終始しており、欧州レベルの政策論議ができているとはいいがたい。つまり、EU専門家にとっては「今回は一味違う」選挙になっているが、普通の一般人にとってはそこまで変わらない選挙だともいえる。

 (追記:今回の投票率は前回の43%から0.09%(!)増加し、43.9%となった。予想に反してほとんど伸びなかった。やはり普通の人にとってはブリュッセルは自分とは関係のない遠い世界のことなのだろうか?これについては改めて考察したいと思う)

 ポイント③:極左・極右政党/反EU政党がどこまで支持を伸ばすのか?その影響は?

欧州議会選挙の議会構成予測

 Vote Watchの最新世論調査分析(リンク)によれば、2014年の欧州議会における反EU派の議席割合は2009年の約9%(無所属+反EU)に対し、約18%まで増加する見込み。欧州人民党(中道右派)の割合は29%、欧州自民党(中道)は7.9%、欧州緑の党は5.9%まで減少するが、欧州社民党(中道左派)は27%に微増、欧州左党(左派)は7.1%まで増加する。つまり、反EU政党が勢力を伸ばし、中道右派政党が削られ、左派政党の議席が微増する見込みだ。

 (追記:実際の選挙結果は、世論調査分析結果とほとんど変わらなかった。強いてギャップをあげれば、反EU勢力が1%余分に取ったこと、欧州自民党が2%予測よりも多く取ったことなど)

 こうした結果がEUの政策形成にどういう影響を及ぼすのか?

 まずはっきりしているのは、右派ブロック(人民党+自民党+保守改革党)、左派ブロック(社民党+自由党+緑の党)による多数派形成ができなくなることだ。前回までは右派ブロック(人民党+自民党+保守改革党)が経済財政・産業政策分野では過半数(約53%)を満たしていたが、今後はブロックごとの過半数占有は不可能となり、左右を超えた大連立的連携が求められる。こうした大連立の必要により、包括的な自由貿易協定、厳しい環境規制、難民や移民の受け入れへのバックラッシュが想定される。

 しかし、反EU(極右)政党の躍進によってEUの政策決定が止まるということはない。これまでも欧州議会本会議における採決の約半分が社民党と人民党の大連立でなされていたことを思えば、こうした基本的な構図は変わらない。欧州でも日本でも極右政党の躍進が誇張されて伝えられる傾向があるが、彼らの議会への政策形成に及ぼす影響力は限定的だという点は強調したい。

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G20 ユースサミット

2014年5月8日~11日、ドイツのミュンヘンから120km離れたGarmisch-Partenkirshenというアルプス山脈に囲まれた観光地で、G20ユースフォーラム(G20 Youth Forum)という(30歳までの)若者を対象としたG20の模擬イベントが開催された。G20ユースフォーラムは、主にG20の国々の学生、研究者、政治家、活動家などを一同に集め、様々な分野の最新の研究内容の共有、若者政策に関する議論を通じて、世界中に変革の種を撒くことを目的としている。

私はもう学生ではないが、現在ベルギーにいることもあり、たまたま知り合いの千葉大の先生から同イベントについて教えてもらった。世界中の次世代のリーダーたちが集まる(?)ということで休暇を取って自費で参加することにした。以下ではイベントの概要と様子をまとめて紹介する。

G20 入口

g20youth

G20 ユースフォーラムの概要

  • 今年の参加者数は私の推定で約300人~400人
  • 国ごとに参加者数が異なり、米国、オーストラリア、EU域内の国からの参加者が多かった
  • 「カンファレンス」という研究報告及び共有を目的とするアカデミック部会と「サミット」というトピックごとに政策提言をする部会があり、参加者は応募の段階でどちらかを選んで参加する
  • なお、応募の際は、推薦書、トピックに関する志望書、履歴書を提出する。締切前の応募であればおそらく誰でも参加できる模様(私は締切を過ぎて応募したが参加できた)
  • 参加費は食費込みのツインルームが約1090ユーロ、シングルルームが1400ユーロ
  • 日本からは約12人の学生が参加した(そのうち4人は日本の大学に所属する外国人学生)
  • ほとんどの参加者(学生)は大学から財政的支援を受けている(日本は筑波大と東工大だけが財政的に支援をしている模様)。

G20ユースサミットでの政策提言

ユースサミットでは参加者は下記の5つの政策議題ごとに分かれ、5月10日~11日の1日半で1ページ半の勧告をまとめる。その後、最終日の午後の閉会セレモニーにて、それぞれのグループの代表者が5分間のプレゼンテーションを行う。

  1. 「若者が起業するための環境」(Entrepreneurial Climate for Youth)
  2. 「家族と若者のためのキャリア機会」(Family and Career Opportunity for Youth)
  3. 「教育の機会と人権」(Access to Education and Human Rights)
  4. 「食料安全保障と将来の資源」(Food Security and Future Resource)
  5. 「税制と若者の生活環境」(Tax and Living Condition for Youth)

グループ:税制と若者の生活環境 

 私が加わっていたグループの「税制と若者の生活環境」では、G20の12カ国から総勢21人が参加した。同グループは、主に若者の生活状況を改善するために税制をどう活用するかという点について議論をした。同グループの参加者の7割くらいが学部生だった。

  • グループの作業手順は、各国の代表者が事前に準備してきたポジションペーパーに基づいて発言をした後、改めてトピックの問題点および解決策についてに議論を行い、そののちフォーマットに合わせてテキストを落とし込んでいく、というもの。
  • 主な論点は、①「世代間格差の改善策」、②「職業訓練プログラムの強化策」。
  • ①高齢化社会に直面している多くの先進国の代表は、世代間格差を減らすため、高齢者から若い世代への財政支出を拡大する施策(相続税強化、奨学金拡充、学生ローンの利率引き下げ)が不可欠という点で合意した。その一方、中国やインドなどの新興国では人口に占める若者の割合が多いため、こうした世代間での再分配策はあまり魅力的ではない。むしろ、全体の課税ベースを増やすべきと主張していた。
  • ②職業訓練プログラムの強化策の必要性は、ほぼすべての国で共有された。特に先進国ではITプログラマー、エンジニアなどの技術者が足りていない。大卒者の有するスキルと労働市場の求めるスキルのミスマッチがあり、(特に文系高学歴の)失業者が減らない。こうした問題を解決するため、工科大学や技術系専門大学、職業訓練プログラムへの財政支援の拡充、(文系大学よりも相対的に安い)授業料の優遇措置の導入などの対策案が提案された。

G20ユースフォーラムのエンターテイメント

ユースフォーラムでは、初日と最終日にディナーパーティーが用意されていた。プロの演奏家や歌手によるクラッシック音楽やオペラのパフォーマンスの披露、ドレスコード付きのディナーパーティー(男性は蝶ネクタイのタキシード、女性はドレス)に加え、バイエルン地方の伝統的男性衣装「レーダーホーゼン(肩ひも付き半ズボン!)」を使ったダンスセッションなどがあった。

Gala Dinner[1]

全体の感想

G20ユースフォーラムを運営するのはロシアを拠点とするNGO(G8/G20 Youth Forum Alumni)だということに応募後に気がついた。ウェブサイトを見ると創始者を含めて運営に関わっているのがほとんどがロシア人だった。ウクライナへの侵略でG8から追放されそうになっている中で、こうしたイベントがロシア人によって運営していることは皮肉である。今回のイベントでは安全保障全般については議題になっておらず、ウクライナが話題に上がることもなかった。イベントの運営上、センシティブなトピックに触れたくないということは理解できるが、G8/20という名称を使っている以上、そうした自国の問題点についても積極的に扱うべきだったと思う。

とはいえ、イベント自体はよく準備され充実した内容であった。個人的には、相部屋相手だったオランダ人学生スティーブン(24歳)との出会いが忘れられない。彼はユトレヒト大学で学生政党を設立、今年3月のユトレヒト市議会議員選挙に挑戦し、1議席を獲得した。彼からは学生党を設立する経緯から選挙キャンペーンなどの具体的な話を聞くことができた(このユトレヒト学生党の話は別の機会にブログでまとめる予定)。私の方からは日本でも18選挙権実現に向けた運動などの話題を共有して多いに盛り上がった。他にも中国、台湾の若い世代とも素晴らしい出会いがあった。ここで構築した(特にアジアでの)ネットワークを大事にしつつ、今後も広げていきたい。

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日本の漁業に関する報告書@欧州議会

 日、私が作成した日本の漁業に関する報告書が欧州議会のウェブサイトに掲載されました。こちらからダウンロードできます。

日本の漁業(欧州議会)

 主に日本の漁獲に関する現状を概観した上で、特にEUが関心のある個別トピック(日本の漁業規制枠組み、違法漁船への規制、水産物の輸入規制、マグロ、ウナギ、クジラなどの特定種に関する資源管理の状況)について詳しくまとめたものです。できるだけ中立的な立場から客観的に書きましたが、基礎的なデータを羅列するだけで、なぜだか批判的なレポートに見えてきてしまうから不思議です(それだけ日本の漁業の衰退が明らかだということでしょう)。英語での報告書ですが、グラフや表が多いので、見ているだけでよく分かると思います。

 欧州議会では、関係委員会に所属する議員が海外に調査団として派遣される場合、議会の行政官が当該分野の資料を作成し公開します(原則)。この報告書もまさに日本へ調査訪問する欧州議員のために私が作成したもので、本来は昨年5月に発表されるはずでした。しかし、財政難によって議会の活動予算が縮小され、議員派遣が中止になってしまいました。漁業委員会は力がないので、他の関係委員会の派遣団と一緒に日本に行けと言われてしまいました。
 
 私は、調査団が中止になったとしても、ウェブサイトに掲載してほしいと頼みましたが、欧州議会選挙の前で立法活動が忙しくなり、最終編集の作業は後回しになりました(本気出せばすぐに終わったはずだと思うのですが、そこは「明日できることは今やるな」というヨーロピアンクオリティーです)。あれから一年が経過した本日、ようやく掲載まで至ったというわけです。

 なにはともあれ、欧州議会のウェブサイトに自分の名前の入った報告書が掲載されるのは感慨深いです。まあ、履歴書に載せても、漁業?っていわれて終わるという可能性は高いのですが。

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