ドイツ勉強会(第三回)のお知らせ

私の所属するNPO(Rights)の主催する勉強会のお知らせです。これまでドイツの政治教育に関するスタディーツアー(秋に実施予定)の実施に向け、事前学習会を行なってきました。第一回目は「EUの若者政策」、第二回目は「ドイツの政治教育」で、今回の第三回目は「ドイツの政治行政システム」です。ドイツ大使館のドミニク•ボーネンさんをお招きし、実際の事例や出来事を織り交ぜてお話頂きます。ご興味のある方は下記の申し込みか私のアドレスまで連絡ください。

===============================

NPO Rights:ドイツ事前勉強会第三回

「ドイツの政治行政システム」
(主に連邦政府•連邦議会及び参議院•地方自治体の役割及び権限など)

講師:Dominik Bohnen(ドミニク・ボーネン)さん
(駐日ドイツ大使館広報担当二等書記官)
日時:3月21日(金・祝)10:00~12:00
場所:スター貸会議室四谷・3階第1会議室

(http://www.kaigishitsu.jp/map/map-yotsuya.html)

申し込み:http://www.rights.or.jp/mail_form.html

================================

カテゴリー: 告知, 政治参加・投票率・若者政策 | コメントをどうぞ

EUの若者政策(勉強会資料)

 日、NPOのRightsの事前勉強会で「EUの若者政策」について紹介した。前半部分がEUの基礎的な仕組みの話(EUと加盟国の権能、立法プロセス、欧州議会選挙の影響)で、後半はいわゆる若者政策(雇用+教育+参画)の話。自分も調べていて意外に面白かったので、ここでも簡単に紹介する(プレゼン資料はこちら)。

 主にEUの抱える若年層の課題は、日本よりはるかに多い高校中退者やニートと、それなりの教育を受けた中間層のスキル不足とミスマッチである。

 現在、雇用対策の目玉とされているのが「若年保障(Youth Gurantee)」。若年保障は、4ヶ月間求職活動をして仕事が見つからない若者に対して公共雇用サービスが介入し、地域の教育機関、企業、若者団体などと協力して個別的に対応するというもの(日本のワンストップサービスを体系化したようなもの)。特に教育水準の低い若者に対しては再教育や職業訓練の機会を提供しつつ、そうでない人にはカウンセリングやマッチングの助言を与える。さらに、欧州全域をカバーする雇用サービス(EURES)を追加で活用することで、若者の流動性とマッチングの精度を上げる。それに加えて、エラスムス+プログラム(留学プログラム)で、海外留学を経験した人材を増やして底上げをする。こうした中間層を対象とした対策を強化することで、若者の能力開花を促進していく。

 もちろん、こうした若者に特化した措置だけでは十分ではない。特に若者をめぐる状況はむしろ経済財政状況によって左右されるので、短期的な若者政策で効果が上がるとも思えない。特に南欧の国々では、全体の雇用の流動化や国際競争力を伸ばす政策を並行的に進めないと根本的な解決にはならないだろう。それでも、EUの28カ国は比較可能な国が多いため、新しい取り組みを実施する場合には、そうした効果について科学的な知見を得やすく、ベストプラクティスも学び合えるし、そこからまた新しい動きも出てくるだろう。

カテゴリー: EU, 告知 | コメントをどうぞ

田母神氏の台頭は「大雪のせいだ」

 東京都知事選で田母神氏が一定数の支持を集めたこと、特に20代の24%がいわゆる極右勢力に位置づけられる田母神氏の支持に回ったことは、ある意味、舛添氏の当選よりもサプライズだった(朝日新聞出口調査)。ただ、20代の4人に1人が田母神氏を支持していると読み取るのは飛躍である。投票率が過去三番目に低い46%まで下がったため、極右に位置する田母神氏の得票割合が押し上げられたと考えられるからだ。政治的な思想を持つ熱心な人達は投票に行くが、無党派層は行かない。逆にいえば、投票率がもう少し上がっていれば(つまり中道寄りの人が参加すれば)、田母神氏の得票割合は減っていただろう(ただし、最後に述べるように、中道政党が普通の人の受け皿として機能しているという前提である)。

 客観的には、今回の都知事選挙は政策争点が見えない、分かりにくい、パッとしない、投票意欲の湧かない選挙だった。しかも20年振りの歴史的な大雪である。こうした悪条件の中でも投票に行こうという人は、政治に関わる組織に属する人、自分なりの政治的な思想を持った人に限定される。その中でも田母神陣営は一部の若者に訴求するところがあったのだろう。

 米国では降水量が1インチ(約25mm)増すごとに投票率が1%低下し、共和党が少しだけ有利になるという研究結果がある[1]。宗教的な基盤を持つ共和党は民主党よりも熱心な政党支持者が多いので,雨が降ってもめげずに共和党を応援しに投票に行く。だが、民主党は無党派層が多く、忠誠心は共和党よりも高くないため、天候が悪いと投票意欲を失いやすい。一方で,日本の過去の衆議院選挙分析では、雨が降ると投票率が2.5%下がるとする研究結果があるため[2],今回の大雪の場合の影響はより大きかったといえる。(もちろん、天候だけで投票率が左右されるわけではない。スウェーデンの調査事例からは投票所が近いなど投票しやすい環境整備があればさほど影響はしないという結果が出ている)。

 欧州では、ポピュリストが存在感を示す選挙に欧州議会選挙がある。本当は加盟国の規制だけでなく経済政策のあり方まで左右する重要な立法機関の選挙であるにも関わらず、多くの国民は欧州議会選挙に関心を持っていない。EUレベルの政策論争ではなく、あくまで自国政府の進捗を評価するための「中間選挙」になっている。そのため、2009年の欧州議会選挙の投票率は史上最も低い43%まで低下しており、中道政党よりも急進的な政党が勝ちやすい状況にある。今年の5月に実施される欧州議会選挙では、極右政党が躍進すると予想されている。(特に左派)中道政党は、より多くの人が投票すれば、自分らの得票率が伸びるとして、投票率向上のキャンペーンを展開している。なお、これまで欧州議会選挙は6月の初めに実施されていたが、加盟国の特別休日と重なっていたことから2014年の選挙より5月後半に変更した(5月23-25日)。この日程変更により、議会選挙の投票率の上昇が期待されている。

 日本の極左および極右の台頭の動きは、ただでさえ不安定な政治システムをさらに不安定にする、危険な兆候といえよう。欧州の事例からは投票率の上昇が極右勢力の台頭を抑える可能性が見いだせるが、それは確固とした中道政党の存在を前提としている。中道政党が受け皿として存在しなければ、投票率の上昇はそのまま急進的な政治勢力に飲み込まれる。特に欧州の極右政党は、経済的弱者に訴求力を持っているといわれるが、これは日本でも同様である。本来は中道左派政党が解決策を提示して貧困層を取り込むのだが、日本ではそこに訴求する勢力は共産党しかない。中間層がどんどん浸食される中で、現実的な対抗策を打ち出せる中道左派がいない。現実路線の中道左派政党が作れるかどうかが今後のカギである。

[1]http://blogs.lse.ac.uk/europpblog/2014/01/15/evidence-from-swedish-elections-indicate-that-the-weather-on-polling-day-does-not-affect-voter-turnout/
[2]小林良彰「選挙•投票行動」(東京大学出版) p29を参照

カテゴリー: つぶやき・殴り書き, 評論・書評・感想, 政治参加・投票率・若者政策, 時事ネタ | コメントをどうぞ

若者の投票率向上の鍵はお母さんです

 投稿で10代の投票率が相対的に20代前半を上回る傾向があること、そのメカニズムとして親の影響(=親との同居率の高さ)があることを紹介した。これに関連してもう一つ面白い研究結果があるので共有したい。ずばり「(父親よりも)母親が投票した場合に子供の投票率が上がる」という知見である。

 デンマークの研究者は、2009年のデンマークの地方選挙で200万人を超える有権者を対象とした分析調査を実施した[1]。この研究のユニークな点は、「有権者の投票参加に関する情報(投票/棄権)」とともに、「個人の社会的属性に関する情報(学歴、収入、家族構成、住所、市民権、中学三年生の成績」をリンクし相互参照できるようにしたことである(投票は投票所での選挙人名簿を活用、社会的属性は自治体の持つ社会•人口統計を活用している)。これにより、どういう人が投票に参加しているのかがより明確に明らかになった。ここまで幅広いビッグデータを活用した投票分析は世界的にもあまり例がないため、非常に価値の高い研究といえる。

 もともと投票率に関する研究では、有権者の学歴や収入と投票率に相関関係があることは常識とされていたが、今回のデンマークでの事例分析によって、親との同居率および親の投票率が(特に10代の)子供の投票率を決定する要因になっていることが鮮やかに示された(柔道でいえば一本!)。


図:親が投票する場合に上乗せされる子供の投票率
(投票しない親を持つ子供の投票率との比較)

投票参加する親を持つ子供の投票率の差(投票しない親を持つ子供の投票率をベースとする)

 上記は、親が投票する場合に上乗せされる子供の投票率(投票しない親を持つ子供の投票率との比較)を示したグラフである。親が投票する場合、子供の投票率は、そうでない子供よりも平均15%ほど上回り、特に10代で突出して高くなる。このことは、親との同居割合の高い10代では、親の投票参加がより直接的に子供の投票率の上昇に寄与していること(逆に、投票に行かない親を持つ場合、10代の子供の投票率はさらに低下すること)を示唆している。また、父親と母親の投票率と子供の投票率の相関関係を見ると、父親よりも母親が強い影響力を持っており、10代ではそうした傾向はさらに顕著になる(18歳の場合、母親の投票参加を促す影響力は父親の18%以上となる)。

 図:親の投票•棄権に応じた子供の投票率の変化(同居/同居しない場合)両親の投票の影響(同居/同居していない場合)

 上記のグラフは、親が投票•棄権した場合の子供の平均的な投票率の変化を示したものだ。グラフから分かるように、親と同居している人の投票率は両親と連動する傾向がある(両親が投票した場合には71%、両親が投票しない場合には15%)。一方で、親と同居していない人は、両親の投票率との連動はそれほど見られない(両親が投票した場合には53%、両親が投票しない場合には25%)。

 いずれにしても、母親の影響力の方が一貫して強いことには間違いないが、男性は父親からの影響、女性は母親からの影響を受けやすい傾向があることも見てとれる。

 まとめ

 こうしたデンマークの事例分析がすべて日本に当てはまるとは限らないが、母親の影響力は他の研究でも指摘されているため、先進国には共通した現象といえる〔2a•2b〕。ただ、10代の若者の投票率の場合、日本の母親の影響力はデンマークの母親よりも強い可能性がある。

 日本では一般的に主婦が多く、子供の世話や教育により多大な時間を割く一方、父親はサラリーマンとして子育てよりも仕事を優先する傾向があるため、日本の子供の母親に対する愛着や信頼度は父親よりも強いとの見方ができる。デンマークでもこうした傾向はみられるが、父親による子育てへの参加はより一般的になりつつあるため、父親の子供への影響力は日本よりも強いと考えられる(あくまで仮説[2])。こうした違いを考慮すると、日本の選挙権年齢が18歳に引き下げられた場合、上記のデンマークの事例よりも、子供の投票率は母親の投票によって左右される可能性がある。

 つまり、日本の若者の投票率の向上の観点からは、若者だけでなく、特に母親の投票率向上に焦点を当てた啓発運動が重要になるといえる。

参考資料:
[1]:Yosef. B.,Kasper M.H(2012). Leaving the Nest and the Social Act of Voting: Turnout among First-Time Voters. Journal of Elections, Public Opinion and Parties, 22(4), pp.380–406
[2a]:Elder, Laurel & Greene, Steven (2012) The politics of parenthood: parenthood effects on issue attitudes and candidate evaluations in 2008. American Politics Research, 40(3), pp. 419–449
[2b]:Coffe, Hilde & Voorpostel, Marieke (2010) Young people, parents and radical right voting. The case of the Swiss People’s Party. Electoral Studies, 29(3), pp. 435–443
[3]:例えば、父親の子育てへの参加の指標として父親休暇がある。デンマークでは父親休暇が二ヶ月間割り当てられており、ほとんどの父親が利用している。ただし、両親が休暇を取る全体期間に占める父親の休暇取得の割合はまだ8%である。http://europa.eu/epic/countries/denmark/index_en.htm

カテゴリー: EU, 政治参加・投票率・若者政策 | 1件のコメント

20代前半よりも高い10代の投票率

  先日、私が活動しているNPO Rightsで選挙権年齢の18歳への引き下げに関するセミナーイベント(特に欧州諸国での16歳への引き下げの動向および研究結果の紹介)を開催した。そこでのプレゼン内容(リンク参照)に基づき、日本の選挙権年齢を20歳から18歳(あるいは16歳)に引き下げるメリットとして、1)若者全体の投票率の向上、2)若者の政治的成熟性の向上の二点を紹介したい。

============================

 欧米の社会科学の世界では、若者の政治に対する関心や参加が低迷する中、若者の政治参加を促す手段として選挙権の16歳への引き下げの有効性が議論されてきた[1]。そこでの論争の主な焦点は、選挙権年齢の引き下げによって「若者の投票率」が向上するのかという点と、政治的な判断能力に欠けている(と思われている)16-17歳に選挙権を与えることで「選挙の質」が悪化しないかという点である。

 これまでは16・17歳の若者の政治的成熟度(主に政治への関心度•知識度•参加度•有効感に関する指数)が投票に参加出来るほどに高まっていないとの研究結果[2a•b]に基づき、過激な主張の政党や議員に支持が集中するなど「選挙の質」の悪化に繋がる可能性もあるとして、反対意見が支配的だった。また、引き下げ賛成派の中には、若いうちに投票習慣(voting habit)を身につければ将来的にも投票参加の傾向が高まるとの分析結果[3]に基づき、選挙権年齢をできるだけ下げるべきと主張する研究者もいるが、政治的関心も知識も欠けている(と思われている)若者に選挙権を与えることで、投票率の低下を助長し、非投票習慣(non-voting habit)を植え付けるとの懸念が強かった。

 しかし、最近の研究結果からは選挙権年齢の引き下げに好意的な見方が出てきている。実際に引き下げに踏み切った国では、①10代の投票率が相対的に高いこと、②選挙権を与えることで10代の政治的成熟度が向上することが実証的な研究を元に指摘されている。

①10代の投票率は相対的に高い

 ドイツ、オーストリア、ノルウェーなどの選挙権年齢を16歳に引き下げている事例では、10代の投票率が20歳前半よりも相対的に高く、16・17歳の投票率が18・19歳を上回ることが分かっている。日本では、常に20代前半が最も投票率が低く、10代はさらに低くなるというイメージを持っている人がいるかもしれないが、それは間違いである。デンマークの地方選挙でも18-19歳の方が20代前半よりも投票率が高いという調査結果がある。

 なぜ10代の方が投票率が高いのだろうか? デンマークの研究者[4]は、投票行為と社会的属性を細かく調査した上、そのメカニズムは親の影響(および同居率)にあると指摘している。すなわち、18歳の若者は親と同居する割合が8割を超えるため、投票率の高い親の世代の影響によって同世代の投票率が上昇するが、22歳になると親との同居率は約18%まで下がるため、投票参加の圧力が弱まる、という説明である。つまり、これまで年齢と投票率の関係は、年齢が上がるほど投票率も上昇するという「正の関係」として理解されてきたが、むしろ、10代に関しては年齢が下がるほど投票率が上がるという「負の関係」が見てとれるのである。これは素晴らしいスクープである!

デンマークの地方選挙の投票率(2009)
デンマークの投票率(2009年)

ブレーメンの州議会選挙(2011)
2011年ブレーメン選挙の投票率

ドイツの総選挙(2009)
2009年ドイツの総選挙

②若者の政治的成熟度は向上する

 オーストリアの事例からは、たしかに16・17歳と18・19歳の若者の政治的成熟度を比較した場合では前者の政治的成熟度は低い傾向があったが、実際に投票機会を与えることで、学校教育や選挙キャンペーンによる学習効果を通じて、16•17歳の政治的成熟度は向上することが示されている。

 オーストリアの研究者[5]は、2004年と2008年に、16-17歳と18歳以上の若者の政治に対する関心度の調査を実施した。それによれば、2004年の総選挙では、16-17歳の「関心がある」「とても関心がある」と回答する割合が31%だったが、選挙権年齢を引き下げた後の2008年の総選挙では61%まで上昇した。また、ニュースをチェックする頻度でも同様の効果が見られた。また、その他の投票行動(投票の質)などの指標においても、オーストリアの地方選挙での分析[6]では、16-17歳は18歳と比較して有為な差は見られないとの結果が出ている 。ただし、ノルウェーの分析[7]では、16-17歳と18歳では政治的成熟度に著しい差があるとして16歳の引き下げには慎重な見方を示している点には注意が必要だ。

オーストリアの16-17歳の政治への関心度の変化オーストリアの16•17歳の政治への関心度の変化

オーストリアの16-17歳のニュースを見る頻度の変化オーストリアの16•17歳のニュースを見る頻度の変化

日本の選挙権年齢の引き下げ論議への示唆

 上記の欧州諸国の経験を当てはめれば、日本の選挙権年齢を20歳から18歳に引き下げた場合、若者全体の投票率が上昇する可能性は極めて高いといえる。もちろん、社会科学における知見なので、一定の法則や傾向がそのまますべての国に当てはまることはありえないが、日本の過去三回の衆議院選挙の投票率をみると、20代の前半では20歳の投票率が相対的に高くなっている。このことは、10代に年齢が下がるほど投票率が上昇するという負の関係が日本でも当てはまることを示唆している。

過去三回の衆議院議員選挙の20代前半の投票率
衆議院選挙の投票率(20代2)

 また、若い時期からの投票習慣を植え付けるという観点からも18歳への引き下げは有効といえる。上記の統計を見て分かるように、最も投票率の低い年齢層は21歳〜23歳である。現在の日本の選挙権年齢は20歳であるが、ちょうどその年に初選挙が実施される人はむしろ少数派である。国政選挙は通常4年と3年の周期で回っているため、日本の若者が初投票の機会が得られる平均年齢も21歳以上となり、若者の非投票習慣の固定化に寄与しているともいえる。選挙権年齢を18歳まで引き下げれば、初投票の平均年齢は19歳以上になるため、投票習慣の植え付けにはより効果がある(ただし若者の投票率を引き上げるためには18歳よりも16歳まで引き下げる方がより合理的なやり方である)。

 それに加えて、オーストリアの事例からは、16-17歳に投票機会を与えることで、学校教育やキャンペーンを通じた学習効果によって政治的成熟度が向上することが指摘されている。日本でも選挙権年齢が18歳に引き下げた場合、高校三年生が有権者に含まれるため、学校教育の現場でも生きた政治を学ぶための整備が必要になる。これまで政治教育の取り組みは体系的に行なわれていないため、むしろ、日本の若者の政治的な関心や知識を伸ばす「伸びしろ」は大きいともいえる。

 また、オーストリアやドイツの事例からは、18歳と比べて16-17歳だけ無鉄砲な投票行動をするという現象は見られないため、日本でも選挙権年齢を20歳から18歳に引き下げたとしても「選挙の質」を低下させるということはないと考えられる(そもそも日本の18-19歳の有権者割合は2.4%に過ぎないため、仮に全員が同じように無鉄砲な投票行動をしたとしてもその影響力は限定されている)。

まとめ

 若者の投票率の向上および政治的成熟性の育成の観点からは、日本の選挙権年齢を16歳まで引き下げることが理想的であるが、それは現実的に難しいので、まずは18歳への引き下げ(および被選挙権18歳)を速やかに進めるべきである。

参考文献:
[1]Zeglovits, E., (2013). Voting at 16? Youth suffrage is up for debate. European View, 12, 249–254
[2a]Electoral Commission. (2004). Age of electoral majority: Report and recommendations. London: The Electoral Commission:http://www.electoralcommission.org.uk/i-am-a/journalist/electoral-commission-media-centre/news-releases-reviews-and-research/voting-age-should-stay-at-18-says-the-electoral-commission
[2b]Chan, T. W., & Clayton, M. (2006). Should the voting age be lowered to sixteen? Normative and empirical considerations. Political Studies, 54(3), 533–558
[3]Franklin, M. N. (2004). Voter turnout and the dynamics of electoral competition in established democracies since 1945. Cambridge: Cambridge University Press
[4]Yosef. B.,Kasper M.H(2012). Leaving the Nest and the Social Act of Voting: Turnout among First-Time Voters. Journal of Elections, Public Opinion and Parties Vol. 22, No. 4, 380–406
[5]Zeglovits, E.,Zandonella, M. (2013). Political interest of adolescents before and after lowering the voting age: The case of Austria. Journal of Youth Studies, 16(8), 1084–1104.
[6]Wagner, M., Johann, D., Kritzinger, S. (2012). Voting at 16: Turnout and the quality of vote choice.Electoral Studies, 31(2), 372–383
[7]Bergh, J. (2013). Does voting rights affect the political maturity of 16- and 17-year-olds? Findings from the 2011 Norwegian Voting-Age Trial. Electoral Studies, 32, 90–100

カテゴリー: EU, 政治参加・投票率・若者政策 | 1件のコメント

欧州における選挙権16歳への引き下げに関するセミナーイベント

 月9日(木)と10日(金)に選挙権の引き下げに関するセミナーイベントをやります。

 1月24日からの通常国会で審議される国民投票法改正案(特にそれに付随する選挙権/成人年齢の18歳の引き下げの措置)を念頭に置いたもので、主に欧州における選挙権の16歳への引き下げに関わる動向や最新の科学的知見を紹介します。

 こうした他の先進国での最新の動向は、日本では研究者レベルでもほとんど共有されていないので、かなり面白いと思います。また同時に、日本の若者の意見反映がされづらい構造的な背景、それを改善していくためのヒントなども分かってくると思います。

 ご都合のつく方はぜひご参加くださいませ。

2014年1月9日(木):18歳からの政治参加で日本が変わる
日時:2014年1月9日(木)18:30~20:30
会場:国分寺労政会館第三学習室(定員70名)
参加費:500円
主催:生活者ネットワーク
参加申込・問い合わせ先:市民活動ルーム 大嶽(おおたけ) fax042(519)2446
詳細:http://ootake.seikatsusha.me/news/2013/12/18/3944/

2014年1月10日(金):欧州における選挙権18歳から16歳への引き下げ
日時 2014年1月10日(金)17:00~18:00(受付開始16:45)
場所 衆議院第二議員会館地下1階第2会議室
   地下鉄国会議事堂前駅・永田町駅徒歩10分
   http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kokkaimap.htm
参加費:無料
詳細:http://www.rights.or.jp/archives/2014/01/mm140101.html

カテゴリー: EU, 告知, 政治参加・投票率・若者政策 | コメントをどうぞ

西サハラ問題:EU-モロッコ漁業協定の行方

 2013年12月10日(火)、欧州議会総会(日本でいう本会議)で、EUとモロッコの漁業協定の可否に関する採決が行なわれる。2011年12月に同漁業協定は欧州議会の反対多数により否決となったが、今回新たに修正が加えられたものが提出され戻ってきた。ただし、前回同様、モロッコが違法で占領し続けている西サハラのエリアにも漁業協定の範囲が含まれるため、欧州議会では賛否を巡り激しい論争が繰り広げられている。欧州議会の国際法、基本的人権、民主主義の擁護者としての立場が試される採決になりそうだ。

 西サハラ問題の背景

 モロッコとモーリタニアの間には西サハラという、モロッコが38年以上も不法占領しているエリアがある(アルジェリア内にある亡命政府のサハラ•アラブ民主共和国が領有権を主張している)。1975年、スペインが領有権を放棄した後、モロッコとモーリタニアが南北分割を行なったが、西サハラでスペイン独立運動を展開していたポリサリオ解放戦線はこれに反発。アルジェリアの支援を受け、モーリタニア軍を南部から追い出した。モーリタニアが領有権を放棄した後、モロッコ軍が侵入し、西サハラを占領し続けている。

 サハラ•アラブ民主共和国はアフリカや南米アメリカを中心に50カ国以上から「国家」として承認され、アフリカ統一機構(OAU)にも国家として加盟している(モロッコはOAUを脱退し、アフリカ大陸で唯一サハラ•アラブ民主共和国を認めていない)。1992年に国連の仲介で停戦、西サハラが独立するか、モロッコに吸収されるかは住民投票で決めることになったが、未だ実施されていない。モロッコは、西サハラ内に全長2000kmにも及ぶ「砂の壁」を建設し、今でも西サハラ住民への弾圧を続けている(こちらの西サハラ問題研究所で詳細がみれる)

 西サハラ

 EU-モロッコの漁業協定の問題

 EUとモロッコの漁業協定では、モロッコがEUの漁船に対して排他的経済水域(EEZ)内での操業を認める代わりに、EUが漁業援助金/利用料金(4年間で1億2千万ユーロ)を与えると規定されている。こうした漁業協定の問題には、EUの大型漁船が持続的な漁獲量を超えて漁獲していること、経済援助の使い道が不透明であること、EU側の見返りも少ないことなどが上げられている。詳しい内容はこちらを参照)

 ただ、モロッコとの協定の最たる問題は、モロッコが違法占領している西サハラのEEZが含まれているという点である。同協定の反対派は、EUの漁船に西サハラの海での操業を認めることは、EUがモロッコの西サハラの占領に正当性を与えることになる、と主張した上、あの米国ですら、モロッコとの漁業協定を結ぶときに西サハラのEEZを操業区域から除外していると指摘している。

 国際連盟の法制局から提出された意見書は「西サハラ内の資源の利用は、西サハラ住民のためになる場合にのみ行なわれるべきである」としている(こちら)。2009年に欧州議会の法制局も同様に、「西サハラ住民の利益が確保されない場合は、西サハラの海を操業区域から除外するべきだ」と発表している(こちら)。

 これに対し、現時点での賛成派の欧州議員(主に南欧諸国)は、豊富な漁場である西サハラを含まない漁業協定では経済的メリットはないと反論する。その上で、もしもEUがモロッコとの協定を結ばなければ、「基本的人権には目もくれない中国やロシアの漁船がEUが出て行った穴を埋めることになる。汚らしい(ダーティーな)漁船がはびこり、状況が悪化するだけだ」という。さらに、EUとの漁業協定は、西サハラにも魚の加工施設の設置などで雇用を生むとメリットを強調する。

 (こうした賛否の議論は2013年10月3日の漁業委員会の審議ビデオで確認できる。特にオススメは1時間3分過ぎからのイサベラ•ロビーン議員の批判的な意見だ。ニ時間にも及ぶ熱い議論はこちらで見れる)。

 欧州議会の総会での採決に先立ち、先日、欧州議会の漁業委員会で採決が行なわれた。その結果、21人中の13人が賛成、8人が反対、2人が棄権で、僅差での可決となった。このままいくと、欧州議会の総会でもそのまま通過するようにみえる。しかし、漁業委員会は、漁業利権を持つ加盟国議員の割合が多いため、議会総会の意見を必ずしも反映していない。欧州社民党、欧州自由党、欧州緑の党は反対している。また、欧州保守党にもスウェーデン、ドイツ、イギリスなどに反対議員が多いため、漁業委員会の決定がひっくり返される可能性は十分にありうる。

 実際、2011年12月のモロッコとの漁業協定では、漁業委員会で賛成の勧告(賛成12/反対8)が出たにも関わらず、議会総会は、反対多数で否決した(296人の賛成、326人の反対)。スペイン、フランス、ギリシャ、イタリア、ポルトガル、ルーマニアの議員は賛成が多かったが、ドイツ、イギリス、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、オランダなどの議員は反対に回った。まさに北と南の戦いである。
 
       2011年12月の欧州議会の総会での採決結果(欧州政党別)
 モロッコとの漁業協定(2011年12月)

       2011年12月の欧州議会の総会での採決結果(加盟国別) 

加盟国別モロッコ漁業協定(2011年12月)

 
 EU-モロッコの漁業協定に対する賛否の立場にはそれぞれ説得力がある。でも、欧州市民から選ばれた欧州議会の存在価値は、自由と人権の価値を守るために妥協をしない点にある。西サハラで弾圧されている人々にスポットライトを当てるためにも、欧州議会が協定を否決することは意義のあることだと思う。欧州議会が否決に傾くかどうか、月曜日のディベート、火曜日の採決から目が離せない。

カテゴリー: EU | 1件のコメント

イベント告知:「スウェーデンの若者はなぜ政治に参加するか」

  今週、12月6日(金曜日)の17時から、明治学院大学の服部ゼミの学生が運営する”ゆるカフェ”のイベントにゲストで参加させてもらうことになりました。イベント名は「スウェーデンの若者はなぜ政治に参加するか」

 司会のリベラルアーツ研究所の熊倉さんは、スウェーデンの環境政策や少子化対策のことを調査•取材されており、スウェーデンも何度も訪問されています。去年、熊倉さんがストックホルムにいらしたとき、環境党青年部の活動に参加され、映像取材をされました。また、若者政策の専門家で、ストックホルム大学に学部留学中、ストックホルムのユースセンターでインターンを経験し、その後、ベルリンの国際NGOで働いていた両角達平君にも参加してもらいます(わざわざ静岡から!)。

 スウェーデンや欧州諸国の事例をネタにして、日本の若者の政治/社会参加について考えていきます。一般の方々も参加できるゆるカフェという場なので、できるだけ自分の経験や活動に基づきながら、分かりやすくユルーく話していきたいと思っています。スウェーデンに関心がある、日本の若者政策に興味がある、ゆるカフェに興味があるという方、ご参加ください。ゆるカフェを学生で運営しているという服部ゼミの皆さんも面白いと思います!!

 ================================
  ○会場:ゆるカフェ@白金高輪(港区高輪2-6-22 1F)
  ○日時:12月6日(金) 17:00~18:30
  ○テーマ: 若者の政治参加、スウェーデンと日本
   1. 基調プレゼン 「若者の政治参加意識、日本とスウェーデン」
   2. インタビュー映像「スウェーデンの若者はなぜ政治に参加するか」
     (ユーリ・シルヴァ氏、スウェーデン環境党青年部)
   3. ディスカッション
   (ゲスト: 服部圭郎先生、小串聡彦さん、両角達平さん、 司会進行: 熊倉次郎)
 ================================

カテゴリー: スウェーデン, スウェーデン(政治・社会), EU, 政治参加・投票率・若者政策 | 3件のコメント

昭和池田財団の学生懸賞論文のご紹介

  『昭和池田財団の毎年開催している「昭和池田賞」に応募しませんか?」』

 (SMK株式会社の寄付金を基金とする)池田財団の懸賞論文は、毎年秋から冬に募集を行なっており、2014年度のコンテストは、2013年9月から2014年2月末までが応募期間となっています。大賞の昭和池田記念賞には「50万円+奨学金」、準賞の優秀賞には「20万円+奨学金」が与えられます。

 応募要項は以下の通り(詳細はこちら)

  •  対象は、学部および修士課程の学生です。
  •  テーマは、以下の中から選択できます:「日本の針路、この考えはどうだ」「日本の伝統を考える」「グローバル社会における日本の果たしうる役割」「日本国憲法を考える」「原発、是か否か」「日本の領土問題を考える」
  •  作品形式は、「論文」「映像(DVDやビデオ)」のどちらかです。

 私は2011年度に、若者の政治参加に関する論文で応募し、優秀賞を頂きました。私のようなお金のない学生にとっては奨学金を頂けたことは嬉しいご褒美でしたが、それ以上に池田財団の受賞を通じて得られる多くの人々との出会いにこそ本当の価値があると思っています。すでに30年以上続いている伝統と継続性のある論文コンテストで、今でも同世代の受賞者や歴代受賞者との幅広い世代との交流の機会があります(初回から論文審査員を務めてこられた森川さんの素晴らしい人間性と献身的なコーディネートのおかげですが)。

 せっかくこうした素晴らしい賞があるのに、応募者がいないのはもったいない。自分の研究分野、自分の活動を通じて社会に訴えたいことがあるという学生は、ぜひ挑戦して応募してほしいと思います。

カテゴリー: 告知 | コメントをどうぞ

成長戦略としての被選挙権の引き下げー特区の提案ー

 11月27日の午前中、衆議院議員会館で、「若者政治参加特区」のための国会議員•メディア向けのイベントが行なわれた。若者の政治参加を第一線で訴える高橋亮平氏らの「万年野党(政策監視のNPO)」による主催で、岸博幸氏、原英史氏、南相馬市長の桜井勝延氏が登壇した。細かい点は除き、主な提案内容について説明したい。

 主な提案は、地方議会での被選挙権年齢(現行法では一律に「満25歳以上」)を、市町村が独自に引き下げられるようにする「特区制度」の導入である。正攻法でいえば、公職選挙法の選挙権および被選挙権年齢の18歳引き下げとともに民法の成人年齢の引き下げに着手すれば良いのであるが、現在、2007年に決まっていたはずの国民投票改正案(の国民投票年齢の18歳引き下げ)すらも、現政権与党内部から反対が出ている状況では、そうした18歳への権利の引き下げは不可能だ。

 最後に残されたアイディアが、被選挙権引き下げの特区制度だ。被選挙権年齢を18歳ではなく20歳まで引き下げる方法は、民法の成人年齢を引き下げる必要がないという点で、法律の整合性の観点からも障害は少ない(そもそも、選挙権や被選挙権と成人年齢との整合性を取る必要は必ずしもないはずであるが、そこは置いておく)。また、自民党の保守派からの「近頃の若者は未成熟だから成人年齢を下げることはありえない」という指摘も上手く交わすことができる。

 そもそも、20代前半の若者に立候補の門戸を開くことで、現状を改善することはあっても悪化させることはない。20代の若者が地方政治に立候補できる仕組み(人材をサポートする制度)を整えることで、若者の社会•政治参加を底上げすることに繋がる。また、若い地方議員が増えることで、育児や環境など未来志向の政策施策に注目が集まりやすくなり、成長ビジネスをも後押しすることになる。

 海外の事例でいえば、ノルウェーでは2007年から投票年齢を16歳に引き下げることのできる特区制度を計画し、2011年から特区申請を行い、選出された地方自治体にて16歳での投票が認められている。日本の場合、地方自治体が独自に決められる仕組みにしてもいいし、ノルウェーのようにモデル事業として国が選出するという形にしてもよいだろう(前者が理想だが)。

 なお、日本の町村議会の年齢構成は、60歳以上が67%、40歳未満はわずか2%である(平成25年町村議会議長会調査)。こうした状況では、未来志向の政策議論をすることは難しいだろう。若者の政治参画の拡充を求める主張は左翼っぽいイメージがつきまとうが、むしろ、ビジネスフレンドリーな取り組みとして理解されるべきだ。規制緩和•経済成長を大事にする経団連や経済同友会の産業団体こそ「被選挙権の引き下げは成長戦略の一つ」として押し進めるべきではないか。

カテゴリー: 政治参加・投票率・若者政策 | 2件のコメント

ストックホルムは環境先進都市ではない?

 月の10月21日、スウェーデンの大手紙(Svenska Dagbladet)は、スウェーデン人が思っているほどストックホルム市は環境先進都市ではないという趣旨の特集記事を書いた。特集記事は、主にロンドンスクールオブエコノミクス(LSE)の報告書の内容に基づき、欧州都市と比較する形で問題点•改善するべき点を列挙している。私も知らない点があったので、紹介したい。

 6つの課題

(1)廃棄物処理は不十分
 リサイクルおよびコンポスト化のレベルはEU平均よりも低水準であるだけでなく、ゴミの分別(率)については国内の他のコミューン(市)の後塵を拝している。現在、ストックホルム市は、2018年までに食品廃棄物の半分を集めるという国家目標の達成に向け、食品廃棄物を含めた新しい処理方法を準備している。

(2)エネルギー消費の水準は高い
 ストックホルム市における一人当たりのエネルギー消費は高い。寒い気候と高い生活水準が高いエネルギー消費に結びついている。エネルギーの効率化を進める余地は残されているが、過去20年では、ほとんどエネルギー消費を減らせていない。また、水の消費量も多い。ストックホルム市の家庭の平均水消費量は、その他の欧州都市よりも大幅に上回っている。

(3)自動車への依存度が高い
 ストックホルム市には人口1000人当たり373台の自動車があり、同じ経済水準の英国のバーミンガム市を上回っている。また、ストックホルムの人々の車の使用回数および走行距離は大きいが、自転車やバス利用者の数が少ない。さらに、割り当てられている公共交通専用道路は、市内全体の2%に留まっており、欧州平均を下回っている。

(4)市内の公共交通での移動に時間がかかる
 ストックホルム市内の公共交通での移動時間は、コペンハーゲン市よりも長くかかるため、環境負荷が高い上、経済の生産性に悪影響を及ぼしている。(追記;渋滞指標2013Q2によると、ストックホルム市の道路の混雑状況は昨年比で悪化しており、ラッシュ時の遅延時間は39分から48分に伸びている)。

(5)一人当たりのCO2排出は実態よりも多い
 ストックホルム市は、1年間の一人当たりのCO2排出量は3.5トンで、欧州の中でも最も少ない都市の一つである。しかし、CO2排出量の原因となる大規模工場や施設は他の地域や他国に移しているため、こうした点を考慮すると、ストックホルム市のCO2排出量は15.68トンまで上昇する(※2004年のデータ)。スウェーデン全体の平均値よりも10%ほど上回っている。

===============================

 こうした批判的な記事が出てくるのは、やはりスウェーデン人が「自分たちが環境分野で世界をリードする」という気持ちを持っているからだろう。やや挑発的だが、きちんと最新の報告書や欧州各国との比較が数値で裏付けがされていて説得力もある。ジャーナリストからも未来を先導する社会を作るという気概が伝わってくる良い特集記事である。

カテゴリー: スウェーデン, スウェーデン(政治・社会), EU | コメントをどうぞ

ベルギーの好きな食べ物

 さて、日本帰国と修士号の取得(見込み)を祝って、ブリュッセルの食べ物の思い出をいくつか写真とともに振り返ってみよう。

 まずはなんといってもビール。この写真のモールシュビテ(Mort-Subite)は即死という意味のブランドビール。中心地のグランドパレスのそばにある世界で一番最初の屋内ショッピングモール「サンジュペール」のすぐ目の前にあるビール屋はこの名前。僕はよく自然発酵で作られるとされるランビックビールを飲んでいた。フルーティーでかなり酸っぱい味。あんまり強くないからガブガブ飲める。また、白ビールのヒューガーデン(Hoegaarden)はジュースみたいに飲めるし、料理に合うからよく飲んでいた。他には、トラピストビールという特別な修道院(シトー派)で作られるビールがある。ChimayとかOrvalとかが有名で、やたらと強い。一杯飲めばもう十分になる。

 Mort Subite

 次はムール貝。パセリや白菜、タマネギ、ショウガなどを加え、白ワインをベースで蒸したムール貝。ムール貝は美味しいが、なんといってもムールと野菜の染み込んだ白ワインのコクがたまらない。個人的にはトマトベースでガーリックを入れたものも止められない。何人かでいけば、まず白ワインベースのムール貝からスタートして、途中でトマトベースを食べると、幸せになる。また、ベルギーのフライドポテトは二度揚げで外はカリカリで中はホクホク。ムール貝によく合う。ちなみに、ブリュッセルの市内の北東部にはLe Zinnekeという店がある。ここでは味付けが69種類もある。ムール貝好きにとっては絶対に行ってみたいお店だろう。大人数でいくとたくさんの種類を試せるのでお勧め(ちなみに予約はしたほうがいい)。

 シェレオンのムール貝

 そして、いつも仕事中に食べていたオランダ版のワッフルクッキー(ゴーフル)。柔らかい生地の中にキャラメルやチョコレートなどの甘いソースが入っている。朝にコーヒーと一緒に食べると頭の回転が良くなってよろしい。意外と密度が濃くて一枚で重量があるため、枚数制限はしておいた方がよい。また、出来立てのコーヒーの入ったカップの上に置いておくと、生地の中のキャラメルが少しずつ溶けてトロンとしてきて美味しい。これはヌメっとした感じが好きな人にお勧め。ちなみに写真のゴーフルは、オランダのチェーン店の「HEMA」で購入。HEMAは何でも屋で、服でも雑貨でも食べ物でもあらゆるものが売っている。ブリュッセルにもいくつかお店がある。

 ヘマ ゴーフル

カテゴリー: ベルギー | コメントをどうぞ