EU/欧州議会①

の修士論文のテーマは、欧州議会である。欧州議会は、国家を超えた新しい議会制民主主義の実験的な試みである。政治/経済制度、文化や考え方が大きく異なる27カ国の人々は、ナショナリティーではなく、イデオロギーに沿って欧州の政党グループを選び、政党グループは異なる国家を背負った議員をまとめて統一的に行動することができるのだろうか?

日本の自民党や民主党ですら思想的にも政策的にも分裂している状況を見ると、EUという大きな枠組みのなかでは、とても出来るとは思えないだろう。私もそう思っていた。ただ、これまでの研究を見てみると、欧州議会の政党グループは時を重ねるごとによりまとまって行動しているという好意的な結果が出ている。本来成立しないはずのものが成立している。こうした見方は、私の欧州議会に対する大きなパズルだった。

これは正しいのだろうか? これまでの研究にどこか間違いがあるのではないか? だが、もし本当だとすれば、EUが希望を描けなくなったというのはまだ早い。EUの民主主義あるいはこれからの世界レベルでの新しい民主主義の形にも一筋の未来があるかもしれない。

そんな疑問から欧州議会の役割に興味を持ち、私は調べ始めた。正直、今でも欧州議会がどれくらい上手く機能しているのかよく分からない。欧州議会は世界でも類を見ないユニークな実験的な試みである。他に比較できるものがなければ良いか悪いかを判断できない。ドイツやアメリカの議会と比較しても、比較する対象があまりにも異なるため、あまり有益な結論は導けない。これから欧州議会がどうなっていくのか、どうすれば上手くいくのか、それを知るためには、もっと量的/質的な研究の蓄積が必要であろう。

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アフリカ博物館@Brussel

 日は、ブリュッセルの南の郊外にあるアフリカ博物館(Royal Museum For Central Africa)へ行った。モントゴメリー(Montgomery)駅からトラムの44番で南に20分ほど走ったところに、ひっそりとした森林エリアが広がっている。トラムを降りて歩くと、200mほど先に、右側面を向けたお城のような建物が見える。これが博物館である。午前中だからかほとんど人がいない。目の前の30m四方ほどの噴水池は枯れている。全体的にどこか色あせた雰囲気が漂っている。

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 ベルギーはアフリカ•コンゴ(民主共和国)の宗主国だった。ヨーロッパの国々の中でもとりわけ厳しく残虐な統治を行なったことで知られる。ここの博物館の展示物の多くはコンゴから持ち込んだものであり、ある意味で、ベルギーによる搾取品の展示ともいえよう。

 まず最初のフロアでは、コンゴの土着的な偶像や民族品から始まり、その後はジャングルやサバンナに生息する珍しい野生の動植物が等身大のサイズで展示されている。巨大なゾウ、キリン、サイ、カバ、トラ、ライオン、ヘビ、カエル、魚、蝶々など。ほとんどが実物らしく、迫力がある。その他にも、クワガタやカブトムシなどもいる。後半では、コンゴで探検家のリビングストンを発見したヘンリー•スタンレーに関する展示やビデオでの解説、スタンレーが辿ったアフリカ大陸の東西縦断の軌跡を追うことができる。また、現在のコンゴの食料や電力不足の問題、それに対する対応策なども展示されている。

 私は、植民地時代の負の歴史がどのように展示されているかに興味があったが、ここでは一カ所の小さなブースでのみ扱われていた。ヘンリー•スタンレーがどうやってコンゴをベルギーの植民地(皇帝の直轄地)にしていったのか、レオポルト二世がどういう残虐なことをしたのか、1960年代にコンゴが独立する際にベルギーがどういうことをしたのか、ほとんど言及されていない。アフリカ博物館という名の元でコンゴからの略奪品を展示しているからには自国の負の歴史と向き合うのは避けて通れないことだと思うのだが、これでは残念だ。

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 アフリカ博物館は2012年末でレノベーションのために休館の予定で、次にオープンするのは2015年以降だという。どのように展示が変わるのか、また機会があれば来てみたい。

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ブリュージュ観光

 末にブリュッセルから電車で1時間程のところにある、ブリュージュ(Brugge)を観光した。

 ベルギーで観光するにはどこがいいかと聞くと「もしまだ行っていないならブリュージュがお勧め」という答えが帰ってくる。ブリュージュは、中世のヨーロッパの町並みがそのまま残っている、世界遺産にも指定されている観光地である。町の中心地を囲むように流れる運河、どの場所にいても写真映えする教会、パズルのように入り組んだ道、歴史を感じさせるレンガなど、町全体が上手く調和し合い、まるで野外博物館のように整っている。ベルギーワッフルとを食べながら歩くと、ザ•ヨーロッパの町にいるという感覚を得られる。

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カウチサーフィング@Brussel

 週からブリュッセルにいる。去年の12月にも環境党のイベントで来ているので、二回目。修士論文(欧州議会)の作成のための情報収集とインタビューが主な目的である。とはいいつつ、実際のところは、リフレッシュで外に出たかっただけだったりする。チケットも安かったので、せっかくだから行っちゃうかと。

 今回は「カウチサーフィング」を通じて、ブリュッセルで泊めてくれる人を見つけたので、宿代が浮いた。カウチサーフィングは会員制のオンラインコミュニティーで、旅行者は現地で泊めてくれる人を探すことができる。会員のプロフィールの紹介、会員同士の評価•レビューが公開されているので、それを見て「旅行者」と「ホスト」は互いのマッチングを行なう。

 私は、「10日間の滞在予定で、3日ずつくらいで泊めてくれる人を募集中」という申請をしていた。カウチサーフィングを使うのは初めてだったので(前に友達と一緒に使ったことはあるが)、私のレビューはもちろん空っぽだ。これではいきなり見つけるのは難しいと思っていたが、10日間泊めてくれるというベルギー人から連絡が来た。ルディーという50歳 台のおっちゃんで、アフリカのコンゴ生まれで、(個人)タクシードライバーをしているとある。会員からの評価を見ると、100件以上が記載されており、そのほとんどが好意的なものだった。

 何より、タクシーの客にはドイツのシーメンスの重役が多いというのに、ベンツでもなく、アウディーでもなく、トヨタのレクサスを持っているというので親近感を覚えた。早速返事のメールをすると、「君が到着するときは仕事中なので空港に迎えにいけないが、勝手に家に入って休んでいて良い」という返事が来た。家の鍵は、マンションの向かい側にあるカフェに預けておくから、そこでもらうように」とのことだった。

 ブリュッセルに到着して指示通りに家に向かった。アパートのある地区は、ブリュッセルでは決して評判の良い場所ではなかったが、彼の部屋はアパートの最上階だった。ドアを開けると、アフリカンな空間が広がっていた。ゾウの彫刻、昆虫の標本、ごっつくて重厚な家具—。部屋は整えられていて、キッチンも清潔そのもの。また、外には30㎡くらいあるバルコニーがある。外に出ると、ブリュッセルの中心地の景色が広がっている。居心地の良い場所だ。

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          アフリカンな家具とアフリカンな装飾物

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          バルコニー(晴れているときにビールを飲む)

 ルディーは、外がまだ明るい、夕方の18時30分くらいに帰ってきた。50歳台の太っちょのおじさん。やや黒みがかった白髪にメガネをかけている。フランス語のなまりが入った英語だが、明瞭で聞き取りやすい。冷蔵庫からビールを取り出して早速、勧めてくる。Chimayという瓶のビール。やや濃いめのブラウン色をしていて、苦みがなく美味しかった。

 「ブリュッセルの天気には失望しただろう?」と、外の雨降りを指していう。さっきまで晴れていたと思ったら、もう雨が降り始めている。ブリュッセルがこんなに雨降りとは思わなかった。ちょうど今が雨期(レイニーシーズン)なのかと聞いてみると、笑いながらこう言う。「ブリュッセルでは一年を通じて天気予報はいらないんだ。だって、どんなに天気がよくても、いつでも雨になることは分かっているから」。

 カウチサーフィングのレビュー欄には、「彼のホスピタリティーには感激した」というコメントが並んでいるが、それは本当だった。日本人もびっくりのおもてなしの精神である。無料で泊めてもらっているのに、毎日、夕食にはコンゴの代表的な料理、パプリカを使った特性スープ、パスタ、ラザニア、ドイツ風ソーセージなど多種多様なメニューでもてなしてくれる。本当に美味しいのだが、量も多い。全部食べないと申し訳ないので、満腹でも頑張って食べる。私と同じくカウチサーフィングで泊まっていたルーマニア人のマリオは図々しくも(あるいは遠慮して)あまり食べないので、結局、私が食べることになる。おそらくこの一週間で2キロくらい太ったと思う。

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 コンゴのカレーのような料理、コンゴで採れたほうれん草のようなものにパームを使ったカレー粉のようなものと「ピリピリ」というスパイスを混ぜる。

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                  ソーセージ

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                  パプリカのスープ

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                  ルディーとマリオ

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 ルディーは去年からカウチサーフィングをスタートし、これまで150人ほどを泊めているという。彼はこれまで泊まった参加者のリストを、月ごとに写真付きでまとめている。国籍と住んでいる地域、性別(ゲイ)などの情報も書き込んでいる。リピーターも多いようで、同じ名前の人が何度も泊まっている。今は、私の写真を貼付けている。私は初めての日本人だったようだ。これまで泊まった人達の色んな話をしてくれる。世界には変な人達がたくさんいるというのよく分かる。しかも、国籍や地域で差が出てくるからそれもまた面白い。

 明日にはメキシコ人の4人グループがやってくるという。「明日はパーティーだ」といってルディーは夕食のメニューを考えている。彼にとって、カウチサーフィングは世界との接点であり、最高の暇つぶしなのだろう。私も将来的にはこういう生活をしたいと思う。

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スウェーデンのレーザーゲーム

 ウェーデンには「レーザードーム(Raserdome)」というインドア•サバイバルゲームの娯楽施設がある。レーザーガンで、対戦相手を打った回数が多い(あるいは打たれた回数が少ない)チームが勝つというゲームである。スウェーデンでは各主要都市で商業展開していて、ストックホルムには二つの店舗がある。子供から大人まで人気の娯楽になっている。
 
 私はペイントボールという野外のサバイバルゲームはウプサラでやったことがあるが、レーザードームは名前すら知らなかった。ペイントボールで打たれると、打たれたところに色がつき、手や顔に当たれば激痛をもたらす。レーザードームはもっと簡単に安全に楽しめる。補習校の生徒達が面白いと勧めるので、卒業式の後でみんなに連れていってもらった。

 補習校から5分程歩いたところ、ロドマンスガータン駅のすぐそばにレーザードームの店舗がある。市立図書館の正面口の向いの通りのわきの入り口を入り、地下の階段を降りると受付がある。その後ろに、40m×40mほどの薄暗い対戦フィールドが広がっている。

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    (カメラを持ち込むのを忘れて写真が取れなかった。これはネットの写真!)

 レーザードームの値段は2ゲーム(15分×2)で120kr (約1400円)。フィールドの手前の控え室に入り、まず上半身に専用のベストを装着したあと、レーザーガンを手にする。ベストとレーザーガンの表面にはそれぞれ装置が付いており、レーザーの光に反応するようになっている。身体を打たれると、6秒間、レーザーガンを打たれると、3秒間の停止状態に陥る。停止している間は、銃を打つことはできず、また敵から打たれてもカウントされない。ちなみに、安全のためにドーム内を走ることは禁止されている。

 僕らは黄色チームで11人。他には赤チームが10人、青チームには10人程がいた。

 最初、目が慣れるまではドームの中は薄暗く、よく見えない。と、すぐに敵の襲撃を受けて、あっという間に打たれてしまった。レーザーで打たれると、「ヴゥーン」という音が鳴り、ベストが光る。6秒間の停止状態の間に後方へと逃げて、再び臨戦態勢を整える。気を取り直し、遠くからレーザーを連射していたら、チームメイトを打ってしまっていた。

 赤チームは二階に陣地を確保し、動こうとしない。こちらが近づくと、二階の壁の隙間からレーザーが飛んでくる。こうなると攻める方が圧倒的に不利になる。赤チームと青チームに挟まれて、とにかくボロボロに打たれて、何もできないまま15分が終わった。控え室に戻り、結果を見てみると、私たちのチームは二位だった。個人の成績も表示されている。それによれば、私は最下位から二番目だった。たぶん50回以上殺されていた!

 二試合目は二階に陣地を確保し、チームプレイで動くことにした。主な対戦相手は小学生の小さな子供達だった。スタート直後、彼らは一試合目の私のように要領を得ずに丸腰で歩き回っている。ごめんと思いつつも子供達の背中を追いかけて次から次へと打ちまくり、大量のポイントをゲットした。二試合目が終わり、結果を見ると、うちのチームが一位で、個人の成績は私が二位だった。ちなみに個人部の一位はうちの生徒の男子だった。

 レーザーゲームは、勝ち負けに拘らなければ、ストレス発散と息抜きには格好の遊び。スウェーデンにきたらぜひレーザードームへどうぞ(笑)。

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センセイ、さようなら

 本人補習学校というものがストックホルムにある。海外にいる日本人の子供(駐在員の子供や現地で育ったハーフの子供)を対象に、日本の学習指導要領に沿って、週に一度、小中の国語、数学、社会などの指導を行なっている。私は去年の4月から中学三年生の担任として働いていた。担当の科目は、国語、公民、数学の三つ。時が過ぎるのは早いもので、あれから一年、昨日、卒業式を迎えた。

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 最初、声をかけてもらったときは、正直、躊躇した。毎週の土曜日は空けておかないといけないし、授業の準備に時間が取られるからだ。加えて、授業だけでなく、「音読会」「学習展覧会」「作文」などのイベントや「運動会」「紙飛行機大会」「餅つき」などの行事も行なっている。毎週、学級通信を作成するにも時間が費やされる。

 でも、今はやって良かったと心から思っている。教える内容、教え方、話しの切り出し方、議論を盛り上げるやり方などを試行錯誤しながら学べたし、「日本の小説が好きになった」とか「日本の流行などを紹介してくれて面白かった」という生徒もいて、やりがいを感じた。人の役に立っているという感覚は、生きる上では不可欠。「先生のおかげです」といわれると、たとえお世辞であろうと、胸が熱くなる。この一年間は、私が「センセイ」になった最初の年として忘れられない年になるだろう。

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             もはや生徒の一部と化しているセンセイ。笑。

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 ただ、私が、生徒の夢の実現を目標にして生きるのはまだ早いと思っている。「センセイ」と呼ばれるよりも、まだまだ「生徒」として自分の夢を追いかけたい。若い世代に未来を託すよりも、まだ自分自身で未来を作っていきたい。若い世代の成長するペースに負けないように、自分を磨いていきたい。この卒業式を期にして、もう一度「生徒」の立ち位置に戻り、明日から心機一転、死んだ気になって精進していきたい。

 生徒よ、さようなら、センセイ、さようなら。

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カリスマ環境党の党首(?)

 週火曜日、環境党の党首のグスタフ•フリードリンが、ウプサラにやってきた。フリードリンは、11歳から環境党に関わり、当時最年少の19歳で国会議員になった。その後、一期で議員を辞めた後、ジャーナリストとして活躍。そして、2010年の選挙で政治の世界に戻り、昨年5月には、オーサ•ロムソン(女性)とともに、スプロークパーソン(党首≒代弁者)となった。今も28歳で、若者だけでなく、党派を問わず、多くの人達から支持を集めている。まさに環境党のカリスマ的存在(←何か色あせたような表現、笑)。

 今回は、「学校教育」というテーマで、カテドラルスクールという伝統的な高校で、昼間に講演会を行った。講演会は自由参加だが、広々とした講堂に、150人くらいの生徒が集まった。大きな拍手で迎えられて、フリードリンが入ってきた。

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 フリードリンは、スコーネ(南部)の出身なので、発音にかなりの癖がある。そこにまた愛嬌があるらしいが、いかんせん、私には聞きとりづらくてたまらない。彼は、最初、与太話や軽いジョークを飛ばし、会場から笑いを取っていた。内容はわからなかったが、生徒達にはウケていた。会場の雰囲気が温まってくると、本題の学校教育に入っていった。

 スウェーデンでは、特に初等中高の教育に大きな問題を抱えている。ここでは詳述しないが、すべての学力科目についてスコアが落ちている。学校間の学力差も広がっている。教育環境の整備も十分ではない。その上で、彼は次のように強く訴える。
 
 「今、学校で勉強している君たちこそ、今の学校について一番よく知っているはずだ。君たちこそ、具体的に何が問題で、何を変えていかないといけないかを一番よく知っているはずだ。君たちが、学校を良くする原動力にならねばならない」。

 ここらへんの若者を引き込んでいくやり方は、彼ならではだろう。25分ほど基調講演をしたところで、質問タイムに移った。最初は様子を見ていた生徒たちだが、一人が質問をすると、次々に手が挙がり、止まらなくなった。ある子は、「今まで環境党は、労働時間を週に36時間に短縮することを訴えているが、党首のあなたはこれに否定的ですね。その理由を説明してください」という具体的なものまであった。エキサイティングなやり取りになった。

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 環境党青年部のテーブル。講演会の後で、興味を持った生徒に対して活動への参加を呼びかけた。あれだけ熱気のあった講演会の後なのに、積極的にやってくる生徒が少なくて、ちょっとがっかりした。こっちの青年部のメンバーも、ビラ配りに及び腰で、慣れていない。政党の仕組みがしっかりし過ぎているためか、新規メンバーの獲得に積極性が感じられない。もっと気合いを出せば、もっとメンバーが入ってくるのに、もったいない。

 夜は、ウプサラ大学の校舎で、もう一度、フリードリンの講演会。こっちの方は、より専門的で、具体的な政策について話す。会場はほぼ満員で、党派を問わず、多くの学校関係者で埋め尽くされていた。質問タイムでは、単なる質問というより、オーディエンスが提案を出して彼と議論をする感じ。学生からのよく分からない質問にも、グスタフは、上手く趣旨を拾い、答えていた。こういうコミュ力の高さと低姿勢なところも、人気の秘訣だろう。

 講演会の後、フリードリンと話すことができた。ウプサラ環境党と、日本人のグループとのミーティングをしたことなどを話した。最後に「日本に来ないか」といったら、「考えとく」とのことだった。ちゃんとプッシュすれば、来そう、かな。

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エネルギーと市民2

 プサラでの二日目の夜、ツアー参加者と、ウプサラ市の環境党の執行部/学生部でミーティングを行なった。ウプサラ市議会の方もたくさん参加してくれた。ミーティングでは、原発事故の後、福島や近隣の状況、また、日本の国民投票の動きについて参加者から話してもらった。
 ツアー参加者の一人が、福島のいわき市の出身の方だったので、福島事故の経験について語ってもらった。地元の復興活動に参加し、福島をエコ先進都市として再生したいという思いを持っている方で、心の底から出てくる言葉に力があり、私も聞き入ってしまった。
                
 これまでのエコツアーでは、スウェーデンに来てスウェーデンの取り組みを学ぶのが目的だったが、原発事故の後は、福島や日本で何が起こっているのか、日本側から伝えるということも必要になっている。海外の人にとっては、福島の原発のことがニュースに出ることも減り、あの後、何が起こっているのか、みんなよく知らない。あるスウェーデン人の参加者は話を聞いた後、「何万人がいきなり避難させられてずっと帰れないなんて」と驚いていた。
 原発事故が、地元や近隣の町に、人々にどういう影響を与えたのか、将来にどういう影響が起こりうるのか(あるいは起こりえないのか)、いかに原発というものが危険なものだったのかー。私たちは、もっと世界に向けて発信していく義務があるだろう。福島で現実に起こってしまったことは、他の場所でも他の国でも起こりうることである。私は、日本は脱原発の方向を示し、フクシマの悲劇を繰り返さぬよう世界に訴えていくべきだと思う。
 (ちなみに、先日、スウェーデンの原発自治体(オストハンマー)の政治家が「原発は200%安全」とTVのインタビューで言っていたが、さすがに笑った。スウェーデンの原発はヨーロッパのなかでも、事故やミスが多く、稼働率は最低の状態。今も10機のうち4つしか動いていない。この自治体の原発だって、2006年に事故を起こしている。フクシマ以後も、こんなプロパガンダを笑っていえるのだから、感覚が麻痺しているとしか思えない)。
                
 今回の会合を通じて、スウェーデンの環境党(みどりの党)と、将来的にできる(はずの)日本の「みどりの党」がより協力していければうれしい。今回のツアーで知り合った方々ともネットワークができたし、都民投票/国民投票の動きもあるし、日本に来たいという青年部/学生部のメンバーもいるし、そうなったら、日本で色んなイベントが出来ると思う。
 
                
 
 このツアーについて、ラジオや新聞、テレビでも報道されたようだ。テレビのニュースはこちら。上の地元新聞の見出しは「日本人、ウメオで、オルタナティブエネルギーについて学ぶ」。スウェーデン人から学ぶだけでなく、こちらからスウェーデン人にもインスピレーションを与えたはず。お互いに素晴らしいツアーになったと思う。

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エネルギーと市民1

 週、リボーン(エコツーリズム)の壱岐さんとレーナさんが、エコツアーで、10人ほど日本人の参加者を引き連れてやってきた。ツアー名は、「エネルギーと市民」。今回のツアーでは、各自治体の環境やエネルギーに関する取り組み(原発処分場、バイオガス工場、風力施設、自然学校、保育園の見学)や、人々の社会との関わり(地元の市民や高校生や大学生、政治家との交流)などがテーマ。

こちらから参加者のレポートも見ることができます
 
 ストックホルム、ウプサラ、ウメオの三カ所を、8日間で回るというスケジュール。ウプサラーウメオは、寝台列車。私はウプサラでお手伝い(?)として参加させてもらった。今回の参加者の中には、市議会議員、環境NPOに関わっている方、エンジニアの方、また福島出身の方で地元でエコタウンを作りたいという方などがいた。みなさんそれぞれで経験があり、何より奇心旺盛。こういう楽しい出会いがあるのも、エコツアーならではだろう。

 ツアー参加者は、ウプサラで、約二日間過ごした。ウプサラの近郊のオストハンマー市にある原発最終処分場(SKB)を見学したり、自治体の人に話を聞いた(私は前に見学したことがあるので今回は参加していない)。また、ウプサラのバイオガス施設(Uppsala Vatten)の見学、自然学校の体験、ウプサラ市の環境党の政治家/学生部とのミーティングなども行なった。

            Uppsala biogas facility

 ウプサラのバイオガス施設では、有機のゴミを集め、発酵させ、バイオガスに変えている。2010年のデータでは、7 540トンの有機ゴミのうち、1260トンを産業界から、6280トンを家庭やレストラン、飲食店から集めているという。

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                 まず袋と中身のゴミを分けていく。

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                 さらに細かく分解し処理していく。

 これらのゴミを一ヶ月ほど発酵させた上で、バイオガスと液化肥料を作っている。バイオガスは、8190 MWhで、このうち83%が市内のバス(60台か90台?)、13%が施設の室内暖房に使われている。また、16100トンの液化肥料は、近郊の20人ほどの農家に売られている。現在、液化肥料は、残念ながら「有機農法」として認められていない。スウェーデンの認証機関のKRAVは、有機ゴミを処理するときに金属物質が入り込む可能性を排除できないと言っている。一方で、プレゼンしてくれた担当の人は、細かい分解の作業をしているから問題ないという。これから分解技術が進歩すれば、有機として認められるかもしれない(?)。

 ゴミを集め、バイオガスに変換することで、ゴミから出る温室効果ガス(メタン)を削減でき、自治体の自動車•バスに使う化石燃料も減らし、農家の肥料にも使える。まさに循環型の社会だ。今は規模は小さくても、スウェーデンの自治体ごとに取り組みが進んでおり、バイオガスの生産量も右肩上がりで増えている。これからどんどんスピードアップしていくだろう。

 さて、日本はどうだろうか。

今回のツアー参加者のエンジニアの方によれば、日本でもやろうと思えば、技術は十分過ぎるくらいあるという。あとは「人々の意思」と「ヨコの協力」である。「水道局」、「交通局(ゴミ)」、「ガス会社」などが縦割りではなく、お互いに協力すれば、すぐに出来るだろう。むしろ、小さい自治体ほど、初期投資と意思があれば、すぐに出来ると思う。(ちなみに、ウプサラ市の人口は大体20万人だ)。

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           バイオガス施設のあとはウプサラ郊外の自然学校へ。

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      この日は、中学二年生が氷の彫刻を作成。参加者も挑戦することに。

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                     どーも君?
  
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      氷の中に飛び込む生徒。アイスピックのような道具を使って地上によじ登る訓練。

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                冬のバーベキューも美味しい!

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引っ越しとセムラ

 ういえば、また引っ越しをした。これでウプサラに来てから、通算で7回目である。住宅の数が増える需要に追いついていないため、アパートが見つからない。友達の部屋を又借りする形で点々とさすらっている。住めば住むほど荷物が膨らんでくるので、引っ越しの移動が大変になり、めんどくさい。

 今は、日本人の研究者の方が帰国している間の二ヶ月間、アパートを貸してもらっている。スウェーデン人のヤコブとともに、それぞれ一つずつ部屋を持ち、キッチン、バスルーム、リビングルームは共有していた。だが、ここに移ってきて一週間もしないうちに、ヤコブがインターン先を見つけたといって、スウェーデン人のビクトーを代わりに連れてきた。ビクトーはきちんとしていそうだったから、まあいいかと思っていたが、一週間もしないある日、部屋がもぬけの殻になっていた。ドアの前には鍵が置いてあるだけで、置き手紙もないし、連絡もこなかった。

 さすがにこれには飽きれてしまった。礼儀がないというか、他人への配慮というか、倫理観の欠如というか、とにかくがっかりしている。しかも、ウプサラで部屋を探している人はたくさんいるなかで、契約を交わして部屋を取ったんだから、ちゃんと約束は守ろうよ。こういう場合は、ヤコブが責任を取るべきだろうが、そういう連帯責任という概念もスウェーデンではないだろうな。ただ、私の部屋を探している友人が来週から引っ越してくることになったので、私としては逆に良かったわけだが、こういう外人の感覚はよくわからないな。まあ、あんまりわかりたくもないし。

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                 私の部屋

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               リビングのテーブルとセムラ

 この時期は、スウェーデンの伝統で、このお菓子(セムラ)を食べることになっている。クリスマス明けからイースターの間にしか売っていない。ホイップクリームは甘くなくて、その下のパン生地の間にアーモンドクリームが塗られている。けっこう好きでよく食べている。

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寒さが染みる2月

 1月の下旬から、一段と寒さが厳しくなってきた。自転車に乗っていると、顔が痛くて仕方ない。最近はマスクやバンダナを使って凌いでいるが、メガネをしていると、自分の息で曇ってしまって前が見えなくなる。また、マスクをしていると「何だあいつ」みたいにジロジロと凝視される。手袋をしていても、手がジワジワと凍えてくるのが分かる。とにかく寒い。
 こういうときにはホッカイロが役に立つ。人生で初めてホッカイロを目にしたスウェーデン人の友達が「こんないいものが、どうしてスウェーデンにないんだ」と驚いていた。たしかに、こっちで売れば儲かるかもしれない、と思う。なぜスウェーデンで売っていないのか、EUの規制の対象になるような悪い物質が入っていないかと、逆に心配になる。

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スウェーデン視察旅行

 コツーリズムの旅行会社リボーン(と友人のレーナさん)が、2012年の2月4日~11日にスウェーデンの視察旅行を企画しています。現地に来て空気に触れる、実際にスウェーデン人と意見交換をするなど非常に有意義な中身です。ウプサラも日程に入っているので、私もボランティアとして協力できたらと思っています。まだ参加枠が空いているらしいので、もしご興味があればチェックしてみてください!
 以下、レーナさんのメールです。
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 日本は福島原発の事故を経験して多くの人々が新たに「原発」というものを考えるようになりました。スウェーデンは1980年に原発を問う国民投票を行ったりするなど、市民がエネルギ-政策に深く関わってきた国です。それなのに、3.11の後にドイツと違って市民は案外静かです。市民はどのように考えているのでしょうか。また、使用済み燃料の最終処分場予定地も決まりそうです。その自治体はどのような考え方で受け入れようとしているのでしょうか。
 スウェーデンは暖房エネルギ-が死活問題です。冬は外が寒いけれど空気は新鮮、室内は暖かく居心地がよいです。冬はスウェーデンの人々のエネルギ-に対する考え方を一番よく理解できる季節です。
 スウェーデンの最近の原発政策は少し曖昧になったけれど、再生可能エネルギ-の導入は一生懸命です。子ども達に希望や生きる力を与えようと、心を込めた教育も行っています。
私が考えるツアーは、ただ受け身で見学するのではなく、自分も発言したり、ディスカッションに参加したりするチャンスがあり、スウェーデンの市民そしてツアーの参加者ともよく交流し、各方面から多くのインスピレーションをもらうツアーです。刺激が力となって、皆が持続可能な日本のイメージを描ける気持ちになれればと願っています。ひょっとすると皆さんがスウェーデンの人々にインスピレーションを与える機会にもなるかもしれません。
「未来に希望のもてるエネルギー政策を求めて!持続可能な社会を目指すスウェーデン市民と出会う旅」
2012年2月4日(土)~11日(土)8日間
スウェーデン(ストックホルム、ウプサラ、ウーメオなど)
詳細はこちら:
http://reborn-japan.com/overseas/5372
転送は大歓迎です。
Lena

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