(ある団体の新年会の記録係だった。せっかくなので暴露掲載。匿名報道主義希望)
1月某日の17時30分、山の手線に揺られ新宿方面に向かっているときだった。車内に聞き覚えのある声が響いた。「おー、小串じゃないか」。えっ、と思って左を向くと、同じ電車の同じ車両の隣にMさんが立っていた。「みんな気合入れて準備しているからな。お前もガツンと行けよ!!」早速ハッパを掛けられた。西口を出て目的地の庄助という飲み屋に歩き始める。意気揚々としているMさんは、この日の午前中も、司会のMAと打ち合わせを交わしていたという。「学びは『真剣に遊ぶ』ことで生まれる」とMさんはよく話すが、『真剣に遊ぶ』とは、このような徹底した準備・用意のことを指すのだろう。
予約していた部屋は、階段をおりた地下にあった。右手に6人用のテーブルが2つ、左手に20人用の長机が1つ、その間には一人分程のスペースしかない。予想以上に小さかった。到着して数十分後、司会のMAと幹事のAが現れた。Aは、千駄木会館から10キロほどのマイクセットを担いでやって来た。社会人への案内や連絡をすべて取り仕切っている彼の表情は、責任者としての焦りと不安に満ちていた。「上手く行くだろうか…」。考えれば考えるほど湧き上がる恐怖。だが、迫りくる時間の中で迷っている暇はない。席の配置はどうしたらいいか、学生のパフォーマンスはどのタイミングでやるか、シャツの用意は間に合うか――彼は地下と地上を行ったり来たり、ひたすらシミュレーションを続けていた。
司会のMAは、UEが作った台本をもとに自分用にアレンジして、Mさんのマイクチェックを受けていた。声は届くか、ひと言ひと言の内容は適切だろうか――こちらも準備に余念がない。そうして18時過ぎ、パフォーマンス係の松岡修三ことTOがテニスラケットを片手に会場にやって来た。「思ったよりも小さいなぁ…」。口からふと不安が漏れた。自分の中の会場のイメージと現実が異なっていたのだ。彼もこれからシミュレーションに追われることになった。どこをステージとするか、ラケットを振って危なくないか、パフォーマンスの順番は適切だろうか―、統括のAと掛け合い、内容を決定していく。
次いでラガーマンTAと20キロの瓦を携えた空手家・財務省のOYが到着。準備も完成に近づき、会場の温度は一気に上昇してきた。あとは今回のメインイベントである『名刺シャツ』の到着を待つだけだ。名刺シャツとは、真っ白なTシャツにその人の名前や情報を書き込んだシャツのことである。このシャツの効果には、名前が明示されていることで声を掛けやすく名前を失念せずに話に没頭できるだけでなく、『同じもの(服)を共有』しているという感覚を喚起して話が弾むというものがある。Mゼミ生は、事前にもらった社会人のアンケートをもとにして、午前中から、彼らのTシャツひとつひとつに情報(名前や所属)を書き込んでいた。そして19時過ぎ、千駄木会館で作業をしていたメンバーたちがシャツや道具を背負って到着。まだ自分のシャツを完成させていない学生は、シャツを手に取りそれぞれの個性を表現していく。会場には並行して社会人の方が少しずつ集まり始めていた。去年のMゼミ生たちもやってきた。幹事のAや空手家・会計のOYが次から次へと応対に回る。「急げ、急げ、急げ――」慌しく声が飛び交う午後19時35分、司会のMAの掛け声で、ついにMゼミの新年会がスタートした。
× × × × × × × × × × × × × × × × × ×
集まった人数は総勢37名、そのうち社会人の数は24名だった。この新年会の目的は、学生が社会人との交流を通じて何かしらの学びを得ること、また社会人の方をMゼミに繋げ、通常のゼミに参加していただくことであった。新年会の途中のプログラムには、ゼミ生によるパフォーマンスが用意されていて、その各々の個性を生かしたPRは、自分を知ってもらうと同時に、新年会全体を大いに盛り上げた。
元アナウンサー志望・佐藤の勢い溢れるMCに背中を押されるように、トップバッターTYは、尺八を吹いた。「ブオォォォン」会話が途絶え静まりかえった雰囲気の中、重厚なサウンドが響きわたる。音を出すだけでも大変だと聞く尺八。TYは出だしに苦戦しつつも、最後は会場の歓喜を一身に受けて吹き終えた。二番目のAは、「自分はあくまで幹事として頑張りたい」と抱負を述べたうえで、「自分のパフォーマンスを下げることで他のゼミ生の印象を上げることができれば嬉しい」と、幹事としての責務と他者を思いやる優しい心を喧伝した。その後も次々と若さに満ちたパフォーマンスは続く。
キックボクシング東日本チャンピオン・Sの強烈な左キックが披露されたかと思うと、UEの「人間力に溢れる教授を目指す」宣言、そして帰宅部・MNの『帰宅部のすすめ』。MNはダサいジャージを身を纏ってかく語る。「帰宅とは、プロセスであり一つの哲学なのだ…」。さらに後半には、話題の亀田興起(S)がMC佐藤と会場の空気を一変させたり、少林寺拳法が炸裂したり、松岡修三(TO)が世界と戦うためにはリラックスが必要だと叫び続けたり、ラガーマンTAがジャグリングを始めたり、司会のMAとNAが大塚愛の『さくらんぼ』を手話で歌い出だしたり――、会場は混沌と卑猥さを飲み込むカオスな空間と化してしまった。
「訳がわからない。何なんだここは…」みんなが異変に気づき始めたそのとき、最後のパフォーマンスが始まった。裏から出てきた男は、白い胴着に黒の帯を巻いている。一つ8百円、光沢のある、いかにも硬そうな黒い瓦を4つ重ねる。上にタオルを被せ、左の掌を瓦の表面に擦りつける。注がれる視線、静まり返る会場――。「いぃやぁー!!」。打ち下ろされた左手は地面まで貫通し、四つの瓦を見事、真っ二つに割っていた。「おおぉぉ!!」歓声が上がった。今日一番の注目を浴びるOY、彼はその割れた瓦を見つめていた。……四千円が消えた。だが、そんなものは大した問題ではなかった。この盛り上がりを演出したこと、そのことは決してお金では買えないものだった。彼の割り終わったあとの表情は、何かをやり遂げたあとの感慨に満ちていた。プライスレス。
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えっと、どこからどう突っ込んでいこうか迷うんだけど笑
>えふたか氏
あれですよ。
飲み会のときはマイクを用意し、名刺Tシャツを作り、瓦を割ればいいんですよ。盛り上がる盛り上がる♪
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