最近はジャーナリズムのゼミの研究を進めている。とにかく本や雑誌、新聞を読み漁っている。あともう一つの国際政治のゼミの課題の本とか本とか本とかを読んでいる。…まあそんなに忙しくはないが、小説を読む時間がまったくないというのがちょっと残念というか、精神的につらいというか。
やっぱり現実逃避するには、小説を読むか純愛映画を見るに限るのである。小説よりも、時間が掛からない映画は割とコンスタントに見ようと努めている。そして、この前見て感動したのが、「ただ君を愛してる」と「シュガー&スパイス」の二つである。
前者の宮崎あおいは、素直にかわいい。認める。…で、いつも思うことは、可愛い子にオタク系の役を持っていくのは反則だろうということ。…現実にありえないよって。
「ただ君を愛してる」の沢尻エリカも一見の価値ありである。このストーリーは、ついに本物の恋をした男の子が現実に敗れていくという酷いものである。結論は単純で、男は優しいだけではダメ、スパイスが必要だ、ということであるが、ぶっちゃけ、金と将来性が大事だって話にも読み替えることができると気づいたとき、この作品は純愛モノとしてはダメだなと思った(もともと純愛モノではないが)。
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お金とか仕事とか将来性とか出した瞬間、純愛ドラマの魅力がなくなってしまう。なぜか。「君は僕の世界のすべて」「僕=君」という図式に覆われていることが純愛を純愛たらしめているわけだから。純愛の世界における自己実現はただ一つ、相手がそばにいることだけ。お金を稼ぐとか、出世するとか、有名になるとか、そういうものはまったくいらないし、表現されてはいけないのである。
そもそもの話をしよう。映画とか芸術品というのは、基本的に、自分の実存を脅かすもの(世界)であるべきである。いまの自分が「当たり前で普通だ」と思っている価値観・生き方に対して、なんらかの形で風穴を開けること、新しい価値観をぶつけること。それによって、自分の旧来の生き方に変更を迫ることがその役割だろう。
特に、映画は、『「日常」から「世界」』という言葉で表現されるように、自分の日常の経験・認識内で処理できるような表象ではつまらないし物足りない。見たことも聞いたこともないような、未経験を体験(世界)できるのが映画の役割であり、真骨頂であるのだから。
だからと言って、映画は、戦争やSFなど非現実的(非日常的)な作品でなければならないというわけではない。小津安二郎のように、日常を徹底的なまでに追求することで、普段過ごしているだけでは気がつかない、日常の素晴らしさを再認識させてくれるような映画は、それはそれで「日常」を壊してくれる「世界」の部類に入る作品であろう。
その意味で、純愛作品は(モノによっては)実は「世界」の部類に入る作品かもしれないと僕は仮説を立てた。なぜこれほど純愛モノが流行るのだろうか。答えは、純愛モノは実は、ただ癒しを与えるだけではなく、実存を脅かす破壊力があるから、である。
現実的な観点から言えば、現代人はつねに生活をどうするのか将来をどうするのかと考えざるをえない状況に置かれている。お金や仕事をどうするのかについて日々頭を悩ませなければならない。しかし幸せとはなんぞやと一度考えたときに、それは必ずしもお金ではなく仕事でもない。…溶けるような甘い恋であり、人生に一度きりの真実の愛である。
誰もが幸せになりたいと思って生きている。しかしそんな究極の愛なんて存在しない。だから誰もがある程度の妥協の下で生きている。でも「純愛モノ」はそんな細々と生きている僕らに対して語りかけてくるのである。「きみはそれで幸せなのか…」と。
誰もが「純愛モノ」を実際はアリエナイものとして自覚的に消費しているように見えるが、実はそれを見ることによって、自分のこの生き方は正しいのか、幸せなのかと再帰的に問い直しているように思える。もしそうだとすると、「純愛モノ」を見るという行動は、単なる「現実逃避」ではない。それは自分の幸せとは何かを本質的に直視する、「創造的な破壊」を宿した営みなのである。
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