2014年9月、NPOライツでドイツ視察ツアーを実施した際に、ブランデンブルグ州議会選挙における16歳選挙権の事例を取材した。ブランデンブルグ州は、ドイツの州議会選挙で最初に16歳選挙権を認めた州である(都市州のブレーメンを除く)。同州は、選挙権年齢をただ引き下げるのではなく、高校において政治科目を必修化したり、若者に向けた参画促進のプログラムやキャンペーンを計画・実施したことでも注目されていた。
それではブランデンブルグ州議会選挙における16歳~17歳の投票率はどうなったのか? 現地では、若者の投票率が他の世代と比べて高くなるのかという点に注目が集まっていたが、はたして結果は予想通りになったのか?
最近、ドイツ内務省が年齢別の投票率の結果を発表したところによれば、ブランデンブルグ州議会選挙における10代の投票率は20代よりも高かった。下図のように、16歳~17歳の投票率は41.3%だったのに対して、18~20歳が34%、21歳~24歳は26%であった。前年代平均の投票率(48.5%)よりも低かったが、他の20代~30代よりも大幅に高かった。16歳選挙権を推進していた陣営は、胸をなで下ろしていることだろう。
図表:ブランデンブルグ州・州議会選挙の年代別投票率(2014年9月)
出典:連邦選挙管理委員会(http://www.bundeswahlleiter.de/de/)
今回の結果は、欧州で最も早く国政選挙において16歳選挙権を実現したオーストリアの事例研究の結果を裏付けるものである。すなわち、16歳〜17歳の高校生は、学校における教育やその他の参画プログラムによる効果に加え、親との同居による効果を背景として、投票率が高くなる傾向にある一方で、20代の若者についてはモビリティー効果(学業や職などの移動性が高いこと)もあり、投票率は低くなる、というものである(詳しい説明については昔の記事(20代前半よりも高い10代の投票率)を参照して頂きたい)
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ブランデンブルグ州議会の若者による参画キャンペーンの様子はこちらの動画から見ることができる。この事例のように、高校生への選挙権年齢の引き下げに合わせて、参画プログラムやキャンペーンを体系的に推進していくというのは極めて重要であり、日本の地方自治体にとっても参考になりうるだろう。単なる啓発広報ではなく、地域の問題や政党の政策を学べ、若者が自ら主導する参画プログラムとして行うことポイントである。
(※なお、ブランデンブルグの事例を含めたドイツの取り組みについてより詳しく知りたい方は、最新の報告書「ドイツの若者参画の今」を読んでいただきたい)。