2月6日にストラスブルグの欧州議会にて、EU共通漁業政策(Common Fisheries Policy, CFP)の修正案が通過した。しかも、修正案(全体)については賛成502(75%)、反対137(21%)で、予想を遥かに上回る差での可決となった。修正案の内容は欧州委員会が起草したものからは若干後退しているが、社民/自由/緑の党が重要と考えていたものはすべて残っている。
①MSY(魚が再生産できる水準)での漁獲枠の遵守。②魚の船外投棄の原則禁止。③「個別委譲(取引)可能漁獲枠(Individual Transferable Quota)」のEU全体での導入は行なわない。④多年度の漁獲枠の設定およびその意思決定のプロセスに欧州議会の関与を認める。⑤第三国との漁業協定でもMSYでの漁獲枠を遵守、基本的に余剰の水産資源を利用する。
修正案(全体)に対する投票結果(緑が賛成/赤は反対/黄色は棄権)
欧州議会の欧州政党グループは、左から「左党(GUE-NGL」「緑の党(EFA)」「社民党(S&D)」「自由党(ALDE)」「(穏健)保守党(EPP)」「(英)保守党(ECR)』に分かれている。この投票結果を見ると、EPPからの反対(107)が賛成(115)と同じように多く、党内でのまとまりが取れていないことが分かる。EPPの反対派を見てみると、面白いことに、スペイン、フランス、イタリア、ポルトガルなどの南欧諸国ばかり。彼らは欧州政党の方針よりも自国政府の意向を優先して反対票を投じている。まさに漁業利権を持つ国(主に南欧)とそうでない国の反応の差が如実に出ている。