前の投稿で、ヨーロッパウナギの資源管理が上手くいっていないと書いたが、実はニホンウナギの資源状況はさらに深刻である。先日、欧州議会の漁業委員会の仕事で、ニホンウナギについての報告書をまとめる機会があった(日本の漁業についてのブリーフィングノートは5月くらいにオンラインでも公開されるはず!)。そこで使ったグラフをいくつか紹介したい。
ニホンウナギの漁獲量の変遷(Japan’s catch volume of natural eel 1956-2011 (tonnes))
シラスウナギ(仔魚)の漁獲量の変遷(Japan’s catch volume of glass eel 1950-2011 (tonnes))
シラスウナギの輸入量(kg)と値段(kg)(Import volume and price of glass eel 2000-2012)
(シラスウナギが1kgで180万円までになっている。輸出側にとっては金のなる魚だ)
今、ニホンウナギの資源量はほとんど瀬戸際(the end of the line)。これより下がったらすぐに絶滅危惧種に指定されるという最後の一線である(実際にヨーロッパウナギは絶滅危惧種になっている)。日本政府は去年の夏から(ようやく)ウナギ資源管理対策を打ち出したが、数値目標が具体的に設定されていない上、それを異なる都道府県の漁業者が守るかどうか疑問符が残る。また、ニホンウナギを穫っている(といわれる)中国や台湾とも資源管理計画の共有も欠かせない。例えば、鹿児島県だけ厳しい対策をしたとしても静岡県で捕獲を続けていたら公平でない&効果が薄くなるし、日本だけ頑張っても中国や台湾でたくさん穫っていたならば意味がない。
過去の漁獲に関するデータをできるだけ集める、そして数値目標を決めて実行する、EU加盟国のようにバラバラの規制にならないように、もし守らないところがあれば遠慮なく罰則/制裁を発動する。また、消費者もスーパーで売っているような安いウナギは絶対に買わないようにする、どうしても食べたいときは専門店のウナギを食べるようにしていくなどの必要があるだろう。もしあなたの友達がウナギを食べようといってきたら、代わりに南極海のミンククジラを食べようと提案しましょう笑。これからの日本の資源管理の取り組みに期待しながら、動向をウォッチしていきたい。