今日は、ブリュッセルの南の郊外にあるアフリカ博物館(Royal Museum For Central Africa)へ行った。モントゴメリー(Montgomery)駅からトラムの44番で南に20分ほど走ったところに、ひっそりとした森林エリアが広がっている。トラムを降りて歩くと、200mほど先に、右側面を向けたお城のような建物が見える。これが博物館である。午前中だからかほとんど人がいない。目の前の30m四方ほどの噴水池は枯れている。全体的にどこか色あせた雰囲気が漂っている。
ベルギーはアフリカ•コンゴ(民主共和国)の宗主国だった。ヨーロッパの国々の中でもとりわけ厳しく残虐な統治を行なったことで知られる。ここの博物館の展示物の多くはコンゴから持ち込んだものであり、ある意味で、ベルギーによる搾取品の展示ともいえよう。
まず最初のフロアでは、コンゴの土着的な偶像や民族品から始まり、その後はジャングルやサバンナに生息する珍しい野生の動植物が等身大のサイズで展示されている。巨大なゾウ、キリン、サイ、カバ、トラ、ライオン、ヘビ、カエル、魚、蝶々など。ほとんどが実物らしく、迫力がある。その他にも、クワガタやカブトムシなどもいる。後半では、コンゴで探検家のリビングストンを発見したヘンリー•スタンレーに関する展示やビデオでの解説、スタンレーが辿ったアフリカ大陸の東西縦断の軌跡を追うことができる。また、現在のコンゴの食料や電力不足の問題、それに対する対応策なども展示されている。
私は、植民地時代の負の歴史がどのように展示されているかに興味があったが、ここでは一カ所の小さなブースでのみ扱われていた。ヘンリー•スタンレーがどうやってコンゴをベルギーの植民地(皇帝の直轄地)にしていったのか、レオポルト二世がどういう残虐なことをしたのか、1960年代にコンゴが独立する際にベルギーがどういうことをしたのか、ほとんど言及されていない。アフリカ博物館という名の元でコンゴからの略奪品を展示しているからには自国の負の歴史と向き合うのは避けて通れないことだと思うのだが、これでは残念だ。
アフリカ博物館は2012年末でレノベーションのために休館の予定で、次にオープンするのは2015年以降だという。どのように展示が変わるのか、また機会があれば来てみたい。