今週火曜日、環境党の党首のグスタフ•フリードリンが、ウプサラにやってきた。フリードリンは、11歳から環境党に関わり、当時最年少の19歳で国会議員になった。その後、一期で議員を辞めた後、ジャーナリストとして活躍。そして、2010年の選挙で政治の世界に戻り、昨年5月には、オーサ•ロムソン(女性)とともに、スプロークパーソン(党首≒代弁者)となった。今も28歳で、若者だけでなく、党派を問わず、多くの人達から支持を集めている。まさに環境党のカリスマ的存在(←何か色あせたような表現、笑)。
今回は、「学校教育」というテーマで、カテドラルスクールという伝統的な高校で、昼間に講演会を行った。講演会は自由参加だが、広々とした講堂に、150人くらいの生徒が集まった。大きな拍手で迎えられて、フリードリンが入ってきた。
フリードリンは、スコーネ(南部)の出身なので、発音にかなりの癖がある。そこにまた愛嬌があるらしいが、いかんせん、私には聞きとりづらくてたまらない。彼は、最初、与太話や軽いジョークを飛ばし、会場から笑いを取っていた。内容はわからなかったが、生徒達にはウケていた。会場の雰囲気が温まってくると、本題の学校教育に入っていった。
スウェーデンでは、特に初等中高の教育に大きな問題を抱えている。ここでは詳述しないが、すべての学力科目についてスコアが落ちている。学校間の学力差も広がっている。教育環境の整備も十分ではない。その上で、彼は次のように強く訴える。
「今、学校で勉強している君たちこそ、今の学校について一番よく知っているはずだ。君たちこそ、具体的に何が問題で、何を変えていかないといけないかを一番よく知っているはずだ。君たちが、学校を良くする原動力にならねばならない」。
ここらへんの若者を引き込んでいくやり方は、彼ならではだろう。25分ほど基調講演をしたところで、質問タイムに移った。最初は様子を見ていた生徒たちだが、一人が質問をすると、次々に手が挙がり、止まらなくなった。ある子は、「今まで環境党は、労働時間を週に36時間に短縮することを訴えているが、党首のあなたはこれに否定的ですね。その理由を説明してください」という具体的なものまであった。エキサイティングなやり取りになった。
環境党青年部のテーブル。講演会の後で、興味を持った生徒に対して活動への参加を呼びかけた。あれだけ熱気のあった講演会の後なのに、積極的にやってくる生徒が少なくて、ちょっとがっかりした。こっちの青年部のメンバーも、ビラ配りに及び腰で、慣れていない。政党の仕組みがしっかりし過ぎているためか、新規メンバーの獲得に積極性が感じられない。もっと気合いを出せば、もっとメンバーが入ってくるのに、もったいない。
夜は、ウプサラ大学の校舎で、もう一度、フリードリンの講演会。こっちの方は、より専門的で、具体的な政策について話す。会場はほぼ満員で、党派を問わず、多くの学校関係者で埋め尽くされていた。質問タイムでは、単なる質問というより、オーディエンスが提案を出して彼と議論をする感じ。学生からのよく分からない質問にも、グスタフは、上手く趣旨を拾い、答えていた。こういうコミュ力の高さと低姿勢なところも、人気の秘訣だろう。
講演会の後、フリードリンと話すことができた。ウプサラ環境党と、日本人のグループとのミーティングをしたことなどを話した。最後に「日本に来ないか」といったら、「考えとく」とのことだった。ちゃんとプッシュすれば、来そう、かな。
これはありがたいですね