先週、リボーン(エコツーリズム)の壱岐さんとレーナさんが、エコツアーで、10人ほど日本人の参加者を引き連れてやってきた。ツアー名は、「エネルギーと市民」。今回のツアーでは、各自治体の環境やエネルギーに関する取り組み(原発処分場、バイオガス工場、風力施設、自然学校、保育園の見学)や、人々の社会との関わり(地元の市民や高校生や大学生、政治家との交流)などがテーマ。
こちらから参加者のレポートも見ることができます)
ストックホルム、ウプサラ、ウメオの三カ所を、8日間で回るというスケジュール。ウプサラーウメオは、寝台列車。私はウプサラでお手伝い(?)として参加させてもらった。今回の参加者の中には、市議会議員、環境NPOに関わっている方、エンジニアの方、また福島出身の方で地元でエコタウンを作りたいという方などがいた。みなさんそれぞれで経験があり、何より奇心旺盛。こういう楽しい出会いがあるのも、エコツアーならではだろう。
ツアー参加者は、ウプサラで、約二日間過ごした。ウプサラの近郊のオストハンマー市にある原発最終処分場(SKB)を見学したり、自治体の人に話を聞いた(私は前に見学したことがあるので今回は参加していない)。また、ウプサラのバイオガス施設(Uppsala Vatten)の見学、自然学校の体験、ウプサラ市の環境党の政治家/学生部とのミーティングなども行なった。
ウプサラのバイオガス施設では、有機のゴミを集め、発酵させ、バイオガスに変えている。2010年のデータでは、7 540トンの有機ゴミのうち、1260トンを産業界から、6280トンを家庭やレストラン、飲食店から集めているという。
まず袋と中身のゴミを分けていく。
さらに細かく分解し処理していく。
これらのゴミを一ヶ月ほど発酵させた上で、バイオガスと液化肥料を作っている。バイオガスは、8190 MWhで、このうち83%が市内のバス(60台か90台?)、13%が施設の室内暖房に使われている。また、16100トンの液化肥料は、近郊の20人ほどの農家に売られている。現在、液化肥料は、残念ながら「有機農法」として認められていない。スウェーデンの認証機関のKRAVは、有機ゴミを処理するときに金属物質が入り込む可能性を排除できないと言っている。一方で、プレゼンしてくれた担当の人は、細かい分解の作業をしているから問題ないという。これから分解技術が進歩すれば、有機として認められるかもしれない(?)。
ゴミを集め、バイオガスに変換することで、ゴミから出る温室効果ガス(メタン)を削減でき、自治体の自動車•バスに使う化石燃料も減らし、農家の肥料にも使える。まさに循環型の社会だ。今は規模は小さくても、スウェーデンの自治体ごとに取り組みが進んでおり、バイオガスの生産量も右肩上がりで増えている。これからどんどんスピードアップしていくだろう。
さて、日本はどうだろうか。
今回のツアー参加者のエンジニアの方によれば、日本でもやろうと思えば、技術は十分過ぎるくらいあるという。あとは「人々の意思」と「ヨコの協力」である。「水道局」、「交通局(ゴミ)」、「ガス会社」などが縦割りではなく、お互いに協力すれば、すぐに出来るだろう。むしろ、小さい自治体ほど、初期投資と意思があれば、すぐに出来ると思う。(ちなみに、ウプサラ市の人口は大体20万人だ)。
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バイオガス施設のあとはウプサラ郊外の自然学校へ。
この日は、中学二年生が氷の彫刻を作成。参加者も挑戦することに。
氷の中に飛び込む生徒。アイスピックのような道具を使って地上によじ登る訓練。
冬のバーベキューも美味しい!
私はこれはとても良いことだと思う!