エコ•ベジタリアンのススメ

 「うして人はベジタリアンになるのだろう?」日本にいるときは不思議に思っていた。不思議に思いながらも、この「なぜ」を深く掘り下げることはなかった。日本の日常生活で、ベジタリアンに出会うことはほとんどなかったし、例外的に出会う人達といえば大抵が外国人だった。ベジタリアンと聞いても、「外国人だから」という理由で納得するだけで、それ以上のことについて聞くこともしなかった。私にとって、ベジタリアンは、異なる趣味を持つ、異なる世界の人間たちだったのだ。
 Why do some people choose to become “vegetarian”? I used to wonder the reasons when I was in Japan. At the same time, I never dared to delve into the reasons further. After all, most of vegetarian people I met in Japan was foreigners. It made sense to me that they chose to become vegetarian because they were foreigners. For me, vegetarian was a mysterious, inconceivable concept.
 そんな私も、去年の10月から、お肉をなるべく控えるようになった。つまり、セミ•ベジタリアンになったのだ。約三ヶ月が経過したが、特に困ったこともない。これからも自分のペースで続けていこうと思っている。なぜ私がセミベジタリアンになったのかーここに至る経緯と理路について、主に二つの理由を上げて説明しよう。
 My perspective of the world has changed,if not completely, since last October: I became semi-vegetarian. Three months have passed and I seem to feel natural to live without eating meat. Of course I eat meat sometimes when my friends offer these at dinner, though.
 But why vegetarian? Two reasons can be provided below.
 一つ目は、環境配慮の理由からである。 
 First, it is due to the consideration for the environmental protection.
 ベジタリアンになる理由として大きく分けて次の4つが挙げられる。1、宗教、2、動物愛護、3、健康、4、環境への配慮。中東諸国では、1の宗教的な理由から、ヨーロッパにおいては、2の動物愛護の観点から、ベジタリアンになる人が多いとされる。ただし、最近では、ヨーロッパにおいて、4の環境配慮を理由としてベジタリアンになる人が増えている。私がセミ(エコ)•ベジタリアンになろうと思ったのも、この環境配慮からである。
 As far as I understand, there are roughly four reasons for choosing vegetarian: 1, Religion, 2, Animal Right. 3. Health, 4, The concern from the effect of meat consumption on the environment. The religion and animal right can be major factors. However, the forth choice, consideration for the environment, also plays an more important role in determining vegetarian.
 2000年代後半には、畜産の製造過程で排出される温室効果ガスに関するレポートが次々に出てきている。ウィキペディアの英語版には、「エコ•ベジタリアニズム」という項目があり、肉の消費を控えることが持続可能な発展に繋がることを説明している。
 In the late 2000s, the increasing number of reports came out, pointing out that meat industries has been contributing to the global warming. There is a category in Wikipedia called “environmental-vegitarianism” and it explains how the process of meat production can cause problems.
 これによれば、畜産は、森林破壊、空気や水の汚染、土壌の劣化、そして気候変動を引き起こすとされる。1キロの牛肉を生み出すのに10キロ以上、豚肉でも6キロ以上の穀物が必要になるが、それをそのまま食糧に回すことができれば、遥かに効率的にタンパク質を取ることができる(もちろん動物性と植物性タンパク質では質が少し異なるが)。
 According to it, “the livestock industry is one of the largest contributors to environmental degradation worldwide, and modern practices of raising animals for food contributes on a “massive scale” to deforestation,[2] air and water pollution, land degradation, loss of topsoil, climate change,[3] the overuse of resources including oil and water, and loss of biodiversity”.
 たとえば、2006年の世界食糧機関は、畜産業の及ぼす温室効果ガス全体の排出割合は18%に上るとしている。また、2009年、世界銀行の科学者の調査では上記のFAOの数値を「甘い」とし、実際の排出に寄与する割合は51%にまで上ると主張している。
 For example, “FAO reported in 2006 that meat industry contributes 18% of all emissions of greenhouse gases. This figure was revised in 2009 by two World Bank scientists and estimated at 51% minimum”.
 これから新興国の人々が経済成長を背景に「爆食」を始めると、気候変動が促進されるだけでなく、穀物の輸入にかかる値段が上がり、日本の食糧安全保障にも影響を与えることになるだろう。これらの問題の解決に寄与するためには、現時点では、消費者ができるだけ肉を控えること以外にはない。本当に効果を出すためには、税金を加えるなどの措置を取るしかないが、公平な税の掛け方などの技術的な問題もあり、現実的には難しいだろう。
 In the near future, it is predicted that the climate change is accelerated and that food security will be seriously threatened when massive number of people in emerging countries start to eat more and more meat. Currently, there is no other measure than to appeal to customer’s morality for avoiding meat and decreasing demands. Unfortunately, this can make little impact. A certain forceful regulation, like tax imposition, is required to make an effective outcome, but it is not easy to figure out how to structure tax-system and gain public support.
 スウェーデンの環境党は、肉の消費を抑えることを推奨しているが、税金を加えるなどの政策についてはマニフェストに記していない。肉好きから毛嫌いされるからだ。代わりに、環境党の青年部では活発に反対キャンペーンを行なっている。ウプサラの環境党青年部の二人(高校生)が、ある新聞のウェブページに「肉は週に二日だけースウェーデンのレストランにベーガン料理のみを提供する日を法律として定めよう」という意見書を出した。主張の是非は別に、彼らの行動力にはいつも感心させられる。
 The Swedish environmental party encourages people to eat less meat. However, the party has not advocated to introduce a forceful regulation. This hesitation is understandable: the party cannot not take a strong stance and give an impression of “extremist or radical”.
One of my friends in Uppsala Green Youth wrote an article:”Skip meat two days a week (Skippa kött två dagar i veckan)”. I am sometimes impressed by these young people’s initiative to take a bold action.
 ちなみに、スウェーデンのベジタリアンの数に関するデータは2001年のものしかない。それによると、0.5%がベジタリアンで、3.5%がセミ•ベジタリアンだという。ただ、これは私の印象よりも低い。現在、スウェーデンの若い世代(高校生)の環境問題に対する関心が高くなっていることを考えると、セミ•ベジタリアンであれば10%近くになるのではないか。
 The number of vegetarian in Sweden is 0.5 percent and semi-vegetarian 3.5 percent, according to the data available in 2001. However, this number seems not to reflect the reality now in 2011. Given the growing concern among young people for the environment, the number of semi-vegetarian could be amounting to around 10 percent in Sweden.
 二つ目の理由は、エコ•ベジタリアンという概念自体を広げることである。エコ•ベジタリアンというアイデンティティーに身を包むことで、その他の環境問題にも、あるいはその他の公共問題にも関心を持ちやすくなる。つまり、肉の消費を抑えるというだけの目標を超え、その他の環境や公共問題に目を向け、解決のためにできることを考えるようになる(こういう小さいことをきっかけにエネルギー政策、外交の問題などにも目がいくかもしれない)。
 Second, my reason for choosing semi-vegetarian is not necessarily to stick to the vegetarian practice, but to spread the idea of “environmental vegetarian”. With its identity of environmental vegetarian”, people naturally turn their eye on other environmental issues because their preference of action is always determined by their identities. In effect, the concept of vegetarian is a mean to accomplish for a larger goal: to spread the idea of “environmental vegetarian” and “environmental identity” in the long run.
 私は、「肉を絶対に食べない」というベジタリアンでなく、「肉の消費をなるべく抑える」というセミ•ベジタリアンで十分だと考えている。なぜなら、肉の消費をどれだけ抑えられるかよりも、アイデア自体の拡散が大事だと考えるからだ。そもそも、ベジタリアンの存在が身近でなくて理解がない日本では、ベジタリアンというと、少し極端な人というニュアンスを与えてしまい、引かれてしまう。これは政治的な効果という観点からみると、もったいない。セミ•ベジタリアンという現実主義的な手段を取れば、このようなロスを避けることができる。
 I personally believe that the semi-vegetarian is better than pure-vegitarian because the former can be easily shared among people. Particularly in Japan, in which vegetarian is considered an ideally extreme person, it is strategically better to choose to be semi-vegetarian in order to spread the identity.
 日本は、環境大国としての高いポテンシャルを持っている。一つは、経済成長をあきらめはじめている点、もう一つは、伝統的にセミ•ベジタリアンだったという歴史がある。
 It is my conviction is that Japan has the potential of becoming an “environmental giant”, a country which can take initiative to appeal to the world the necessity of protecting the environment. One reason is that Japan seems to be the first major country which might give up pursuing of economic growth. Another reason is that Japan had the long history of vegetarianism that comes from Buddism and Shinto tradition.
 1、しつこく言われているように、日本の経済は20年間成長しておらず、若者は消費文化から撤退を始めている。バブルの頃をすごい時代もあったんだなと、妬みを覚えながらも、「過剰労働」や「過剰消費」に明け暮れることは「クールではない」と思うようになっている。それが「草食系」と呼ばれる現象によく現れている。スローフードやアンチグローバリゼーション運動を先導してきたヨーロッパの国々でも見られないような規模の、若者のアイデンティティーの変化が日本では起こっている。それが政治運動に繋がっていないだけだ。
 First, as many have pointed out repeatedly, Japan has not seen any economic growth for about 20 years. As a consequence, young people seem to turn their backs to what is called “consuming culture”, and begin to think that “working hard” and committing themselves in “over-consumption” is not cool anymore. This drastic change of mentality can be found in the buzz word “Soushoku-kei”, herbivorous-type”. On the one hand, this scale of change is yet seen even in European countries, which took the initiative to direct anti-globalization and slow food movement. On the other hand, what is distinctive about Japanese non-consumer trend is that the change of mentality is not related to political ideology or activity.
 
 2、日本は国際比較で見た場合には、肉の消費量は大きくない。2005年の統計局のデータでは、一年で一人当たりが食べる肉の量は、日本(47キロ)、アメリカ(127キロ)、中国(57キロ)、イギリス(86キロ)、スウェーデン(78キロ)であるー。日本人は、肉をあまり食べいない代わりに、魚や大豆を摂取している。外国人の中では、伝統的なベジタリアンの食文化に憧れて日本にやってくる人も多い。特にアメリカでは、何を食べているかでその人の教育水準が分かるといわれる。日本食を好んで食べる人たちの多くが、知的エリートだ。
 Second, from the international comparison, Japanese do not consume as many meat as foreigners. According to a data in 2005 from statistic office, the number of meat consumption per person per year is as followed: Japanese (47kg), American (127kg), Chinese (57kg) , British (86kg), Swedish (78kg). Japanese is famous or notorious for consuming a lot of fish and soy beans besides meat. Actually, quite a few foreign people are attracted by traditional custom of vegetarians and healthy food.
 しかしながら、このことを意識している日本人は多くない。むしろ、かつての自分がそうだったように非常に少ない。ベジタリアンの概念もおぼつかないし、日本でベジタリアンの料理のお店を見つけることは難しい。最近は増えてきたとはいえ、まだまだ少ない。
 Unfortunately, few Japanese people are aware of this fact. The idea of vegetarian is not so spread among people that it is not that easy to find vegetarian restaurant.
 日本が「環境大国」として存在感を発揮するためには、もっともっと多くのレストランで、ベジタリアンの料理を提供する、消費者もそういう需要を生み出すように後押ししていくべきである。大切なことは、一部の金持ちの戯れとしてのロハスとかエコではなく、普通の人達が当たり前のこととして実践していくことだ。それぞれの自治体やコミュニティーで取り組んでもよいだろう。(ベジタリアンタウンが出来れば、外国観光客も呼べそうな気がする)
 日本には条件は揃っている。草食系という特性も、実際はお肉を食べないわけではないのだが、名前が指し示す通り、ベジタリアンのアイデンティティーと親和性を持つ。また、一番大きな資産は、日本のベジタリアンの食文化である。これらの歴史的な文脈とモダン的な発想を組み合わせれば、世界に羽ばたける素晴らしいベジタリアン料理が発信できるだろう。あとは市民たちがどれだけアイディアを広めていくかどうかだ(政治家がメディアイベントを使うこともアイディアの拡散には不可欠なのだが、そういう人はまだ日本にはいない)。

ぐし について

スウェーデンのウプサラ大学大学院政治行政学修士取得、欧州議会漁業委員会で研修生として勤務後(-2013年3月)、ブリュッセルでEU政策や市場動向などを調査の仕事に従事。2014年11月から慶應大学のEUSI研究員。千葉市まちづくり未来研究員(自転車政策)。NPO Rights副代表理事として若者政策(主に若者参画)の提言や分析を行う。連絡先:gushiken17@hotmail.com
カテゴリー: スウェーデン, スウェーデン(政治・社会), 政治参加・投票率・若者政策 タグ: パーマリンク

エコ•ベジタリアンのススメ への6件のフィードバック

  1. あやか より:

    だいぶ明けてしまいましたが笑、あけましておめでとうございます。
    昨年もお世話になりどうもありがとうございました。
    今年もどうぞよろしくお願い致します(..)"
    私の周りには専ら健康のためのベジタリアン(あ、1人だけ宗教的な理由の方がいたかも)の方しかいなかったので、今回の記事でエコベジタリアンについてお勉強させていただきました☆

  2. おぐし より:

    あやか氏
    明けましておめでとうございます。今年もよろしくです。
    日本では、健康に良いという理由でベジタリアンになる人は多いかもしれませんね。ほんとにそうなのかよくわかりませんけど。とりあえず、肉を食べても全然構わないので、セミ•ベジタリアンと名乗って生活してみてください笑。

  3. Anna P より:

    okej, så, nu ska jag prova.. does it work…..? yes it does!! 😀 やったのね!! and feel free to bash at my japanese cause it sucks since I’ve never studied it.. >.<
    i alla fall, nu när jag ändå skriver här kanske jag ska skriva nåt mer än bara babbla om att jag har lyckats kommentera..
    så ja, som jag skrev på fb, jag äter också halvvegetariskt med största anledning av hänsyn till miljön! 🙂

  4. TOSHI より:

    >Anna
    Nu kunde du kommentera här! huh。
    Bra att höra att du också är halvvegetariskt.
    Och jatteroligt att ha utlannig som du laser mitt blogg.
    Jag måste skriva mer på engelska och svenska(^^)

  5. んじょも より:

    はじめまして。英語でmy representativeの意味がわからなくて検索してたらここに
    つきました。なんか英語圏の国じゃないっぽいのに英語でかけるのが羨ましい。
    自分はTOEFL65程度なんですが、やっぱりライティング向上には
    書きまくるしかないんでしょうか。気づけば同じ表現ばっか使ってしまいます。。

  6. おぐし より:

    んじょもさん
    ライティングは私も苦手です。よくネイティブの友達にチェックしてもらっています。やはり日常的に練習しないとダメですね。それにしても、どうして、my representationという単語で引っかかったのでしょうね。笑。

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