スウェーデンの総選挙が終わったあとに、正式にスウェーデンの環境党の党員になった。選挙中は穏健党(保守党)と環境党に出入りをしていたのだが、さすがに選挙が終わってから両方に顔を出していたら気まずいし、何となく申し訳ない。穏健党の経済政策は評価できる点が多いと思っているが、ユニーク性と未来を切り開くパワーという観点から、環境党の方がセクシーであるとの結論に至った。
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二週間前、環境党の青年部のメンバーたちと、スウェーデン中部のイエーレブロに二時間電車を乗り継いで行った。ミンク農場に対する抗議デモに参加するためである。イエーレブロの駅を下りると、すでに20人以上が集まっていた。そのほとんどが高校生や大学生だ。さらに車で30分ほど移動、何にもない野原にやってきた。この先にミンク農場があるらしい。
ミンクはイタチ科の小動物で、その毛皮は高く取引されている。スウェーデンでは、農場の管理環境が劣悪だとして問題になっていた。動物保護団体の主張によれば、動物福祉保護法には、不必要な苦痛から保護されなければならないと定められているにも関わらず、30cmー90cmという狭いかごの中に押し込められており、多くのミンクは、精神的なストレスを受けた末、無惨に死んでいる。動物保護活動家たちは、毛皮農場を閉鎖するように抗議している。そうした「動物たちの不必要な犠牲」(リンクの文章)の上でビジネスをしている毛皮産業にも圧力をかけている。そして、消費者に対しても動物製の毛皮を買わないように呼びかけている。
「〜(地名)ミンク農場を閉鎖せよ」というスローガン
「私たちのミンクを離せ!」
我々は、マイナス15度の寒さのなかで、ミンクの住む農場に向かって「閉鎖せよ」と叫んでいた。ミンク農場にはおそらく誰もいないにもかかわらず、だ。その後、20mほど離れた一戸建ての家の前に移動した。ミンク農場のオーナーの家である。さすがに少し焦った。これでは、市民への呼びかけのデモというよりも、オーナーを対象にした単なる嫌がらせ、個人攻撃ではないか。私の倫理観に照らしてもあまりセクシーとは言えない。環境党のメンバーたちも、やや困惑の様子だった。環境党は、非合法かつ非倫理的な手段での抗議活動は認めていないのである。
そのうち、左党のメンバーの一人が農場のオーナーの家の庭先に入っていった。ドアの前で待っていると、突然、農場のオーナーらしき人が家から出てきた。すると、彼に飛びかかり、顔をブン殴った。オーナーは今年で65歳の定年を迎える。メンバーは、オーナーの定年(退職)を祝して、プレゼントを渡そうとしたらしい。オーナーにとっては、笑えないブラックジョークだった。デモを横で見ていた警察官が仲裁に入り、二人は連れて行かれてしまった。