(むむむ、後の集計で議席数がほんの少し変わったので修正しました)
スウェーデンの総選挙が終わった。結果は、右派ブロック(172議席173議席)が左派ブロック(157議席156議席)を上回ることになったが、右派ブロックは過半数に2議席届かなかった。また、今回の選挙で最も注目されていた、極右党といわれるスウェーデン民主党が20議席を獲得し国会入りを果たした。これにより、両ブロックに対しても影響力を行使できるようになった(スウェーデンでは全体の349議席のうちの4%(約14議席)を満たさなければ、政党は国会に議席を持つことができない)。
ただし、今のところ、右派ブロックも左派ブロックもスウェーデン民主党とは協力するつもりがない。スウェーデン民主党は、ナチスシンパだとか、移民やイスラムを排斥する人種差別主義だとか、デモクラシーを否定する政党だとかいわれ、心理的にすごく毛嫌いされている。選挙前も選挙後も、あらゆる地域で、スウェーデン民主党に対してデモが行われている。
先週、スウェーデン民主党の党首であるジミー•オーケルソンがウプサラに演説をしにきた。このときも若者を中心に多くの人たちが集まり、彼が演説を行う中で反対のヤジを飛ばしていた。彼は、過激なことは言わず、「民主主義の原則」(表現の自由)の重要性を説き、スウェーデン民主党の活動を萎縮させるような行動を批判していた(一緒にいた友人談)。
ちょうどこの時、若者たちが中心となりフェイスブックを通じて、「ブブゼラコンサート」を企画していた。もちろん、スウェーデン民主党の演説会に対する「嫌がらせ」である。彼らいわく「このコンサートは昔から継続して行われてきた伝統的なコンサートなのであるが、今年はちょうどスウェーデン民主党の演説会の日程と重なってしまった」のだという。フェイスブック上での参加者は600人を超えていたが、実際、ブブゼラを吹いているのは10人くらいだった。
地球市民を自認するスウェーデン人にとっては、スウェーデン民主党が国会に議席を得たことは恥ずべきことなのかもしれない。私にとっても非常に残念であった。ヨーロッパの多くの国で極右党が勢力を増していくなかでスウェーデンだけは最後の砦になってほしかったからだ。しかし、現実的に考えると、スウェーデン民主党はスウェーデンの(移民反対を唱える政党がいないという)政治の空白を埋める欠かせない存在である。今後の党の動向にもよるが、彼らがより現実主義的な姿勢を見せるのであれば、スウェーデン民主党の存在は、「常態」として定着していくだろう。