前回の投稿でスウェーデンの若者は政治によく目を向けている、と書いた。実際、若者が政治について考えて参加する機会が社会の至る所で埋め込まれている、あるいは制度化されていると感じる。これが端的に現れているのが、若者の政党における活動であろう。各政党には、各々の地域に若者によって構成•運営されている下部のユース組織がある。彼らは、自主的に定期のミーティングや勉強会、イベントの運営などを行っている。これらの若者による活動が、その他の若者たちや大人たちへと波及、政治に対する関心を向上させていると思う。
4年に1度の選挙戦、めったにない貴重な機会なので、僕も環境党(左派ブロック)と穏健党(右派ブロック)のユース組織に定期的に参加することにした。環境党の人たちは優しい人が多くてすぐに仲間に入れてくれた。穏健党は友人のルートを通じてミーティングに参加することにした。環境党のユース組織はそれほど大きくなく、定期のミーティングには10人前後が集まる。これに対して、穏健党のそれはユース団体のなかでは最も大きく20人以上が集まる。(学生たちの話を総合すると、二番目に大きいのは社会民主党)。
環境党の青年部には、二人の代弁者(スポークスパーソン)がいる。どちらもウプサラ大学で政治学(ポリティカルサイエンス)を学んでいる学生である。二人とも、8月中旬から9月中旬までの一ヶ月間は環境党から給料をもらい、生活のすべてを環境党の選挙活動に注いでいる。その主な活動は、ポスター、ビラやバッジの作成、街頭での呼びかけ、ビラ配布、イベントの企画と呼びかけ、ツイッターやフェイスブックの更新、高校や大学でのレクチャー、ディベートへなど、多岐に渡る。
ベジタリアンのタコスで昼食。環境党のユースの9割がベジタリアンだと思う!最近、環境党が貸し切ったクラブのイベントがあったときも、エコビールしかなかった。笑。
環境党ユースの街頭でのビラ配り。
みんなシャイで配るのがあまり上手くない。俺が一番多く配布していたはず。
穏健党ユースの部屋。
穏健党のユースの代表を努めていた先輩によるレクチャー&勉強会。高校生を含めて、20人以上が来ていた。質疑応答では高校生たちもよく質問をしていた。すげーなと感心。
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ところで、選挙活動のなかで、若者たちが最も時間を費やしているのが、高校への訪問活動である。スウェーデンでは、18歳で投票権を得る。高校三年生の半数以上が投票可能となることから、彼らへの啓蒙活動が幅広く行われている。ウプサラの中心地だけで20以上の高校があり、これをすべて回るだけでも一苦労である(ちなみにスウェーデンにはプライバシーの意識が希薄なのか、ウプサラの高校に在籍する学生の顔写真が手に入る)。
ただし、高校への訪問が年々厳しくなっている。というのも、高校に訪問するためには校長先生やこれを管轄する先生の許可が必要になるが、政党や政治団体を受け入れる際の公平性と透明性を維持するのが難しくなっているからだ。スウェーデンでも政治団体の多様化が進んでおり、特に極右党といわれる「スウェーデン民主党(Sverigedemokratena」が勢力を伸ばしているなかで、これらの政党も受け入れるのかが問題になっている。
他の政党に比べて、環境党は有利なポジションにいる。高校の社会科や環境の先生が「環境分野」の授業の一環として環境党をよく招いてくれるからである。環境党のユース代弁者の一人のアンデルションは、環境の授業を履修する高校生や環境の授業を受け持つ先生たちに対して、自党の環境政策をレクチャーをするという。これに対して、穏健党ユースの代表のリカルドは「9月に入ってようやく高校に入れるようになった」と悔しそうに語っていた。(ちなみにリカルドは21歳で、合気道の手練。少し日本語が話せる。穏健党のウプサラ地区選出の比例リストの最後の方に名前が掲載されている)
ウプサラのある高校
政党ごとにテーブルを出して、生徒たちにビラを配ったり政策の説明をしたりする。左から左派党(すごくヒッピーの匂いがする)、自由党、穏健党(ファッショナブルでイケテル)、そして右の手前が環境党(マイルドなヒッピーみたい)。
これは穏健党のユースのテーブル。僕は穏健党のメンバーと一緒に高校に来たのだが、同じ廊下の環境党のテーブルに仲の良い友達がいて、やや気まずい感じになった。
素晴らしいフットワークの軽さですね!続報期待してます。
Dojinさん
ありがとうございます。スウェーデン語ができればもっと深く観察できるんですけどね。まだいくつか面白そうなイベントがありそうなので時間を見つけて参加してこようと思っています(ちなみに一つはフェイスブックからの企画で、極右党の集会を大勢で押し掛けて邪魔しようというものです。ブブゼラとか吹くらしいです。来週の木曜日にセルシウス広場の朝10時です。どうなることやら…)