スウェーデンでは9月19日に総選挙がある。新聞やテレビはもちろんだが、ウプサラの町も選挙ムードに染まってきた。今週から町の広場では、主要な各党(今回は8政党)が各々の小屋を拠点にして、選挙活動を始めた。各々の政党のカラーに小屋を彩り、政党員やボランティアがビラを配ったり、政策の説明をしたりしている。
驚くべきは、若者のアルバイトやボランティアの多いこと(ボランティアとアルバイト)。高校生や大学生だけでなく、(ほんの一握りだが)中学生までいる。着ぐるみを来たり、マンガのマニフェストを渡したり。特に週末になれば、多くの人たちが足を止めて、政党の政策をチェックして、候補者の演説に耳を傾ける。四年に一度のイベントということもあるが、ある意味で「お祭り」的な賑わいを見せている。
左から「左翼党(レフトパーティー」「社会民主党」「環境党」ですべて左派ブロック。広場の向い側には右派ブロックで「穏健党(保守党)」「自由党」「キリスト教民主同盟」「中央党(農民党)」の小屋が並んでいる。まだ国会に議席はないが、「海賊党(パイレーツ党)」の小屋もある。
演説会で最初に出てきたラッパーの人。すごいテンションが高い。
終盤に登場した腹話術師。パキスタンの災害について熱弁していた。
環境党の代弁者(スポークスマン=リーダー)、マリアさん。10パーセントくらいしかわからなかったけど、話し方にすごみと迫力があった。
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あくまでも表層的な印象に基づいていうと、やはりスウェーデンの民主主義は上手く機能していると思う。こういう若者が出てくるというのは、一定程度の大人がそこに存在するということであり、人を育てる機能がそれなりに社会に根付いているということだ。もちろん、社会の仕組みやシステムがそういう若者を生み出すように構造化されている点が大きな要因だろう(ただ、これを構造化するためには結局、人が重要になるのだけど)。ウプサラ大学では、特に政治行政学科の学生の多くは政党に所属したり、その他の団体で社会的な活動をしたりしている。9月に入ると、大学生による事前の投票イベントも開かれるらしい。
翻って、自分の大学の政治学科のことを考えていると、そうやって選挙や政治活動をしている学生なんて、ほんの一握りだった。しかも、関わっている人たちは、大体がちょっと変わった人達。選挙は、一部の変な人たちがやるものという「常識」があるんだろうな。
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さて、とはいうものの、スウェーデンでも党員の数は減って来ており、いわゆる無党派層が大多数を占めるようになっている。今日のウプサラの地元紙(Uppsala Nya Tidning)によれば、主要政党の党員の合計数は、1991年の62万5306人から、2009年では27万3000人に減少。スウェーデンの人口は約930万だから、34人に1人くらいが政党員だということだ(この数字が多いのか小さいのかよくわからない。ちなみに、日本の政党所属人数が約160万人(?)だとすると、日本では78人に1人くらいが党員ということになる)。
というわけで、政党中心の政治ではあるが、スウェーデンでも浮動票が大きな鍵を握っている。現時点では、環境党が大きく躍進するという予想が出ている。現在は国会(定数349)の約6%の議席を占めているが、現時点の世論調査では10%を超えている(本当にそこまで伸びるか疑問視する声もある)。今後とも、若者の政治参加という観点を重視しながら、選挙戦について書いていこうと思う。
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[社会][スウェーデン][財政]TV放映を拒否されたスウェーデン民主党の選挙CM
年金受給者用、移民用にそれぞれカウントされていく札束、そこによろよろと歩み寄るスウェーデン人のおばあさん。するとその横から、ブルカをかぶり、ベビーカーを引いた大量のムスリム系の女性が追い抜いていく。。。スウェーデンのテレビ局に放映を拒否されたこのスウェー