ストックホルムの中心でアニメを語る

 ょうど一週間前のことである。ウプコン(ウプサラ・コンベンション)の会場で、このイベントを聞きつけてスウェーデンまでやって来たという日本人の方(Uさん)に会った。日本でしか手に入らないレア系のアニメ雑誌や写真集、カードなどを売り歩きながら、各国のアニメやマンガの市場調査をしているという。
 It was just a week ago. I met a Japanese(U-san) at UppCon who came all the way from Japan to take part in this event. He said he was doing market research about manga and animation in each country, selling animation articles, photographs, and card that are only available in Japan.
 驚いたことに、慶應の大学院に在籍している「塾員(先輩)」だった。サークルは慶應アニメ研究会に所属しているという。Uさんは「人生をアニメに捧げてきた」と公言するだけあり、アニメや漫画に対する愛情と知識は、バルト海よりも広大で深遠である(と感じた)。
 To my surprise, he is a master student in my university, Keio and a member of Animation club. He has been dedicated his life to animation, he told me. I sensed that his dedication and knowledge was bigger and deeper than Baltic sea.
 「将来はアニメ業界に携わりたい」といい、これまでアメリカなどの主要国だけでなく、ギリシャやトルコ、ドバイを回って海外の市場調査をしてきた。ここスウェーデンでも事前にストックホルム大学の教授や漫画の翻訳家、アニメショップの店員にアポイントメントを取る徹底ぶりだ。この突き抜ける行動力には、ほんとうに感心させられた。
 His dream is to engage in animation industry in the future. He has done field works about market for Japanese animation not only in US but also in Greece, Turkey, and even Dobai. Before coming to Sweden, He did even get appointment with Professor who is studying Sub-Culture at Stockholm University as well as a translator dealing with manga and SF shop owner.
 Uさんにお願いして、漫画の翻訳家の方のインタビューに同行させてもらった。シモンさんという方で、スウェーデンにある漫画の約30%ほどをスウェーデン語に翻訳している。たとえば、スウェーデン語の「名探偵コナン」の全巻、「ワンピース」の前半パートはシモンさんの仕事らしい。
 I asked him if I could accompany him and I joined the interview with a translator. He is a swedish called Zimon(-san), who has been translating about 30% of all manga from Japanese to Swedish. For example, the “Detective Conan” and “One piece” are the products of his work.
        × × × × × × × × × × × × × × × × × × × × ×
 「ごめんごめん遅くなって」. I am sorry for being late.
 朝10時半、ストックホルム駅に流暢な日本語とともに現れたシモンさん。やや長髪に、こざっぱりした若々しい服装。まだ30代前半らしい。しかもまたまた驚いたことに、シモンさんも慶應の塾員(先輩)だった。90年代に交換留学生で来ており、しかも当時の慶應アニメ研究会に所属していたという。つまりは、Uさんのサークルの先輩だったのだ。偶然とは恐ろしい。
 At 10am, Zimon-san appreared with perfect Japanese at Stockholm center station. He looked young in simple clothes with a bit long hair. He said he is still in his early thirty. To my surprise again, he was a family of Keio. He came to Japan as a exchange student during 90s and belonged to the “animation club” in Keio. That is to say, he is a senior member for U-san. What a coincidence.
 ものすごく意気投合した二人の会話は、もう止まらない。途中でSFショップにマーケットのリサーチにいったあと、結局、話は18時まで止まらなかった(僕は終始聞き手)。日本人のなかには「海外のオタクなんて大したことない」と見下している方もいるかもしれないが、とんでもない夜郎自大である。
 They hit it off and nothing could stop thier conversation. After visiting SF shop in Gamla Stan for research, we continued talking and talking about everything. Although there might be some japanese who think Otaku people from foreign countries are beyond Japanese, I found it is complete misunderstanding.
 実際、シモンさんは、Uさんが「彼には負けた」いうくらいのオタクであった。「アキハバラ電脳組(クソ過ぎて面白いらしい)」や「地球少女アルジュナ(この世のすべてを否定するらしい)」、「彼氏彼女の事情の19話(アニメーションが追いつかず紙芝居になったらしい)」について語ることができるというだけではない。かれのアニメに対する真摯な姿勢には、聞いていて背筋の伸びるものがある。
 Indeed, Zimon-san was 100 percent authentic Otaku whom even U-san admits to be far from reaching. What Zimon-san made him outstanding is not only that he could talk about “Akihabara Dennnougumi”, “Chikyuu shouzyo Arujuna” and “KareKano(part 19th)”. His way of seeing animation is beyond impressive.
 シモンさんは、こんな現代でも、テレビ放送中のアニメはリアルタイムで視聴するように自分を追い込んでいる。―インターネットであらゆるアニメが視聴できて、HDD録画ですべてを記録できる現代、いつでも好きなものを好きなときに見ることができるこんな時代でも―。その理由は、DVDにすると画質が落ちることもあるが、何より、「それを逃したらもう見ることができない」という「一回性の緊張感」があってこそ、アニメだと信じているからだ。
 He made a rule to watch animation on broadcasting on time, even in this high technology age when people can see all kinds of animation on the internet and can record all kinds of TV program by HDD. The reason is that beside the fact that recording deteriorates the quality of image, he still believe one of the most interesting parts of seeing animation has been lying in the fact that you cannot see the animation once you miss it.
 
 シモンさんは90年代、日本から持ち帰った新しいアニメや映画を、自分で字幕をつけて友人を集めて鑑賞会を開催していた。会場には多くの人が集まり、最新のアニメを見られるという興奮で溢れていたという。でもいまはそれをすることはない。いつでもすぐにインターネットで見ることができるから。いつでも見られるのであれば、別にいま見なくてもないい。みんなで集まってみる必然性もない。
 During 90s, Zimon-san had put subtitle on the latest animation he had imported from Japan and had a watching party for swedish friends. There used to be filled with many people and intense exciting atmospher. But such situations are things of the past. People began to see animation on the internet. That you can see animation anytime anywhere means that you don’t have to gather at one place to see it.
 アニメを見るために眠い目を擦りながら夜中まで起きていた、わたし。CMを飛ばしてビデオ録画するためだけにリアルタイムでテレビの前に噛り付いていた、あなた。――あのときあの瞬間を楽しみに待っていたアニメ好きの姿は、そのノスタルジックな残像をチラつかせながら、過去へ過去へと消えていくのでした。
 There might have been someone who had been staying up late to watch animation on time, who had been in front of TV just to record the programme into Videotape without CM. Such devoted animation lovers have been fading away into the history, leaving their nostalgic images.

ぐし について

スウェーデンのウプサラ大学大学院政治行政学修士取得、欧州議会漁業委員会で研修生として勤務後(-2013年3月)、ブリュッセルでEU政策や市場動向などを調査の仕事に従事。2014年11月から慶應大学のEUSI研究員。千葉市まちづくり未来研究員(自転車政策)。NPO Rights副代表理事として若者政策(主に若者参画)の提言や分析を行う。連絡先:gushiken17@hotmail.com
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ストックホルムの中心でアニメを語る への3件のフィードバック

  1. f-taka より:

    >「一回性の緊張感」があってこそ、アニメだと信じているからだ。
    響いたぜよ。アニメに限らず、「一回性の緊張感」ってどんどん減ってきてるよね、今。いや、良い悪いじゃないんだけど、「どうせまた同じことがあるから今やらなくていい」というのが寂しい気がする時もあるよね。
    少し前に、「彼氏彼女の事情」を全部見たが、途中から紙芝居というかマンガのコマにセリフかぶせただけの回とかあるぞw 庵野秀明だから納得なんだけどさ。

  2. おぐし より:

    f-taka
    ネットはすごいよ。ほんとに。
    これから人間の生活はどうなるんだろうな。。。
    KAREKANOのそれ衝撃的らしいね。アニメはまだ見てないけど。…庵野さん凝りすぎて、結局、時間もお金もなくなって紙芝居みたいなものになっちゃったんだって。笑。

  3. f-taka より:

    あれ予算不足だったのかw 庵野氏のことだからまたぶっ飛んで超絶演出かましたのかと思ったw

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