朝、寮の友達とジョギングをはじめて1週間が経ちました。毎日だいたい6キロくらい走っています。スピードはゆっくりなのでスタミナが切れることはありませんが、最初のころは足が重く上がらなくて苦労しました。でも、ようやく慣れてきたようです。
高校生のころは少林寺拳法の道場に通っていましたし、週に三回ほどある体育の時間には走る機械も多くありましたが、大学に入ってからはほとんど運動という運動をしなくなりました。運動は時間のムダ、とまではいかなくても、別になくてもよいもの、くらいに考えていたのかもしれません。ここで走りはじめた理由を思い浮かべると、やはり自然の素晴らしさかな、という気がします。
ウプサラは小さい町です。センターから少し離れると森が広がっています。日本で「森」というと、「山」のようなイメージを浮かべるかもしれませんが、こっちでは少し異なります。平地が広がっていて高い山は見当たらないからです。むしろ、日本語の感覚からいえば、「森」ではなく、「林」として思い浮かべた方が正確だと思います。国土に占める森林面積が70%弱という点からみると、日本とスウェーデンは自然に囲まれている国といえますが、「林」という形で自分たちの生活圏の隣に自然が存在するという点では、日本よりもスウェーデンのほうが自然は身近なものなといえるでしょう。
その風景からは、まわりに高い建物や山がないため、空がどこまでも広がっていくような印象を受けます。
村上春樹が、「走ることについて語るときに僕の語ること」というエッセイのなかで、走ることの理由について「空白を獲得するために走っている」ということを書き綴っていました。彼の言うとおり、このウプサラの平原を走ることは「空白」になることです。自然と一緒に、自分もその一部になって走る感覚は、ただ単に気持ちが良いものです。「生産性」、「効率性」、「意味」、「無駄」とか、そういう近代の合理的な枠組みをぶち壊すくらいに、その魅力は強烈です。
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先日、寮の友人とキノコを取りに森に行きました。いまの秋の時期はキノコ取りのシーズンのピークです。森のなかに入ると、袋を持って彷徨っている多くの家族連れの姿が目につきました。僕の目にはどれが食べられるキノコなのかさっぱり判別不能でしたが、彼らは独自の嗅覚で素早くキノコを見つけ、取っていきました。スウェーデン人に聞くと、キノコ取りは毎年のユージュアルなイベントだそうです。「なんでスウェーデンでは自然がこんなに身近なの?」とたずねると、困ったような顔で、「カール・フォン・リンネがいたからじゃないか」と返されました。
ぼくの大好きだったアニメ・「ドラえもん」の世界では、「じゃあ、学校の裏山で集合しよう!」という会話が日常的に交わされていました。日本の都会でも森に入ることは珍しいことではなかったように思います。ときどき裏山が開発によって取り壊されそうになるエピソードが出てきますが、新しくなった「ドラえもん」でも、あの裏山はまだ残っているのでしょうか。
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メタ情報
こんにちは!
今日、このBlogのことをスウェーデン人の友達から聞きました。
なんでも、イケビーバーゲンの近くに住んでいるそうで友達になりたいそうです☆
もしよければ、連絡先を教えてもらえないでしょうか?
近々Fikaでも、と。
ちなみに私自身も前にウプサラに交換留学してました☆
今はマルメ在住です。
もしよければメールくださいませ~^^
Erikaさん
コメントありがとうございます。
スウェーデンの友人がウプサラにいらっしゃるんですか。しかも近くに。それはぜひともお会いしたいです(fika!)。ただ、Erikaさんの連絡先が記されておらずわからないので、もしよろしければ、左の「メールをする」というところから僕まで連絡していただけるとありがたいです。
ウプサラに留学されてマルメ在住だなんて、
すっかりスウェーデン人ですね。笑。うらやましい。
僕にとってはまだまだスウェーデンは謎そのものです。
あと10ヶ月でどれだけ吸収できるか…少し不安です。
ではでは。