前回も書いたように、9月は「スウェーデンポリティクス」という授業を取っている。明日がその最後のセミナーで、先週はずっとそのためのレポート課題を書いていた。レポートの課題は、ずばり、「この授業で扱ったさまざまな政治システムの中からあなたが興味のあるものを選びとり、あなたの国のそれとスウェーデンのそれと比較して、スウェーデンの特徴を浮き立たせるように論じなさい」というものだった。
この課題には、あなたは自国の政治についてはすべて知っているはず、ということが前提とされている。たとえば、スウェーデンの野党の役割と日本の野党の役割について比較して論じようとすれば、日本の政治構造やシステムについての基本的な知識が必要である。自民党55年体制のなかの社会党の役割とか、大選挙区や小選挙区、比例代表制の意味などを把握していないと論じられない。
これはちょっと難しい。手に余るものがある。
スウェーデンと比較するにも、何が似ていて何が似ていないのか、さっぱり分からない。特に、日本の場合、各種政策がどのように決定されていて、野党はそれにどのように関わっているのか、残念ながらよく分かっていないのである。
この比較政治の分野では、似ているものの中で異なるものを見つけ出してその背景を探る、というのが一般的なアプローチの仕方としてある。だが、調べれば調べるほど、スウェーデンと日本と似ているところなんてあるのだろうかと思ってしまう。
スウェーデンでは、政治学と一口にいっても、行政学的な要素をより重視しているように思える(学科の名前も政治「行政」学!)。あらゆるアクター―政党(与党、野党)、政府、官僚、法、憲法、センターバンク、―の役割を確認しながら、ある一定のモデル(たとえば、コンセンサスモデルVSマジョリタリアンモデル)のもとで、スウェーデンのそれがどのようなものとして位置づけられるのか、理論化しようとする。
たぶん、日本においてその統治構造がいまだに謎めいたものとして国民に理解されていないのは、日本の政治状態が特異過ぎて、比較できるものがなかったからではないかとも思う。結局、他との比較を通じてしか自分の特徴を掴めないのと同じように。…なんて言い訳めいたことをつらつら書いても、レポートの出来の悪さは変わらないのだけど。
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