大学に入学してすぐ、大抵の学生が直面する一大事に、サークル選びがあろう。入学式が終わってからの数日間、あの騒がしい新入生取り込み合戦を経ることで、大学に入ったと実感する人も多いかもしれない。サークルが大学の機能にとって良いか悪いかは別として、大学生活に欠かせないものとなっている。
実は、スウェーデンにも似て非なる組織があるのである。その名をNATIONという。
秋セメスターが始まるまでのオリエンテーション期間で、最も多く交わされる会話が「どこのNATIONに入るか決めたか?」。だから、NATIONを紹介するブースはいつもフレッシュマンで溢れかえるし、学生新聞もNATION特集を組んでいる。まさかスウェーデンに来てまで再びフレッシュマンの気分を味わえるとは思わなかった。なかなか愉快である。
NATIONは全部で13つ存在する。もともと地方から来た人たちのための相互扶助の組織として作られたもので、その名前はすべてスウェーデンの地名から取られている。(慶應大学の似た組織でいえば、東北県人会とか九州県人会みたいなものだろうか)。
UPPSALAの学生は、必ずどこかひとつNATIONに所属しなければならない。学生証も所属のNATIONごとに発行される。それぞれのNATIONはそれぞれ固有の歴史的な建物を持っていて、その中には、図書室や雑談ルームから、BARやPUB、ディスコ施設が整備されている。働いているのも、ほとんどが大学生である。交換留学生の多くもここで働いている。
NATIONごとにも特色がある。例えば、STOCKHOLM NATIONは、何となく華やかなイメージのとおり、NATIONのなかでも最大のもので、ダンスやクラブ好きな人たちが多く集まる。僕が入ったのは、KARMAR NATIONというところで、規模としては中くらいといった感じ。
(カルマルとは、14世紀から15世紀に生まれた、デンマークのマルグレーテ女王を君主としたスウェーデン・ノルウェーとの三国連合体のことをいう。僕は、ここの名前の持つ歴史が好きだったのでここに決めたのである。ちなみに、のちにグスタフ・ヴァーサの登場により、スウェーデンは独立を回復し、カルマル連合は消滅する。)
来週はKARMAR NATIONの新入生歓迎会がある。そこでNATIONのなかの様々なアクティビティーが紹介される。写真クラブやカルチャークラブ、勉強サークル、スポーツクラブ、音楽クラブ、合唱クラブ。もちろん入らなくてもいい。もし他のNATIONのアクティビティーが魅力的だとおもったならば、そちらに入ってもいい。とりあえず、カルチャークラブくらいに入っておこうかなと考えている。
NATIONの良いところは、留学生にも優しいところだ。スウェーデンのフレッシュマンも留学生にも、平等に開かれている(というか組み込まれる)。交流が促進されるように上手く仕組まれている。NATIONにとりあえず所属し、興味あるイベントやパーティーには参加し、あとは学問に打ち込む。大学のシステムとして理想的だと僕には思われるが、どうだろうか。
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