ひょんなことからオール徹夜飲みを終えて朝、日曜日。眠い目を擦りながら、そのまま10時から「日本英文学会」の発表@三田を聞きに行った。
今回は、(特別)講師に内田樹先生がいらっしゃるということで、もうそれはそれはウキウキで聞きに行ったのである。多少眠かったけど、内田先生がしゃべると、不思議と眠気が吹っ飛んだ。相変わらず流暢で、深みがあって、面白すぎる。というか、先生が話しているセッションでは、パネリストがみんな楽しそうに話すんだよな。すごいなぁ。ほんとに楽しそうだなぁ、なんて思って聞いていた。
アメリカ文学における、「アメリカの原光景」が中心のテーマだったが、必ずしも文学の領域だけの話ではなかった。文学の話は、膨大かつ難解で、なかなか消化しきれなかった。だから文学とは切り離して書くけれど、内田先生が言っていたことで印象的だったのが、「葛藤を持っている人は、知的パフォーマンスが高くなる」ということ(まあいつも言っていることと被るけど)。
例えば、昭和人と明治人の共通点って何だろうと考えたときに、彼らが生きていたど真ん中で、時代がまるっきり変わってしまったことがあるという。明治では、村や集落から、「日本国」になった。昭和では、もちろん815で戦前と戦後の切り替えを経験した。だから、彼らはいわゆる「以前」と「以後」の二つのアイデンティティーを自分のうちに含まざるをえない。それゆえ、その二つの「断絶」を自分の葛藤のうちに押し込み、それを抱えたまま、あるいは一つに昇華させていく必要があった、と。
「葛藤」とは、どろどろしてボンヤリして如何とも形容しがたい軋轢である。それを抱えながら衝突させながら、それでも投げ出さないで抱え続けることは、その当人に人間的な成長や深みをもたらす。これは少し考えれば、確かにそうだなと思う。世の中は複雑怪奇であり、物事には良い面があれば悪い面がある。単純な図式に落とし込まないで、そういう複雑性を上手く自分の中で受け入れ消化できる人が、人間関係においても経済活動においても、高いパフォーマンスを示せるのは至極当然のことだろう。
葛藤のない人ほど、ツマラナイ人間はいない。文学をきちっと読むのは、そういう知的ブレークスルーを経験するためかもしれない。まあ普通に恋愛すればいいじゃんって話しですけど、ね。
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もっと早くに知っていればなぁ。
残念!><。
柴田さんは何を喋ってたー?今度おしえてー。
↑
ポール・オースターの話、少し出たよ!
今度会ったとき詳しく!
内田さんのサインもらったよ^^
「葛藤・成長」ということに関しては、
やっぱり「父と子」関係の中に自分を当てはめることが大事かなぁと感じました。
しかし、「師匠に師匠がいればそれは師匠論」などと絡めても、
簡単に割り切れる話ではないか。
あんまりアメリカのこと考えてないな・・・。
>えふたか
びっくりするぐらい面白かったぜ、にやにや。
みんな発表・報告というより、その場でパッと思いついたことを
あれこれ言っている感じだから、こっちも脳ミソが開かれるような刺激がある。
あれこそ、本当のアカデミックの授業だなと思ったよ、まじで。
柴田さんは、何かもう引用しまくりだったぜ笑。
オースターの話とか、オースターといると、
なぜか弟の立ち位置になっている話とか笑。
もう何かすごかった。
>おーき
レヴィストロースの、
「父と子」と、(時々)「おじさん」の話、面白かったな。
僕はやっぱり、見下される弟子の役がぴったりだ。
ということが確認できてよかったわ笑。
いいなぁ!><
内田先生の饒舌ぶりも健在だったようで^^
>おおき
サイン貰ったってことは絡みに行ったのかい?うわー!