毛主席を愛でる北京旅行1

 メディアコム・大石ゼミの党員諸君と毛主席を愛でるために、北京に旅行に行った
 
 一日目
 北京空港を出ると、少し砂っぽかった。空気は乾いている感じ。気温は、日本とほとんど変わらない。出迎えの案内人で、チャンチィーというあだ名(勝手につけた)の中国人の女性は、「昨日は、20度を越えました。でも朝と夜は5度くらいになることがあります」と、丁寧な日本語で話してくれた。
 ホテルは東交民港飯店というところだった。天安門広場から徒歩10分弱と近いが、大通りとは少し離れた閑静なロケーションに位置する。調子の悪い回転扉を通って、フロントで部屋の鍵をもらい、チャンチィーと18時から中国雑技を見に行く約束をして、五階の部屋に向かった。
 
 カード式の鍵で部屋を開けると、左に洗面所、奥にはベッドが二つとテレビがある。テレビを回すとCNCニュースがやっている。ベッドはかなり硬めで、長く座っていると、少し疲れそうな感じだった。冷蔵庫から大きい水を取り出して、一杯飲んでひと息ついてみる。隣に座っている相棒のスーツケースを覗いてみると、本が5冊も入っている。「なにこれ??」と確認するように聞くと、中上健次の「枯木灘」とモーム短編集と、社会学の新書の類だと、彼は答える。
 …なるほど、世界は平和だと思った。そして僕はこういう人間が好きなのである。
 30分後、7人で天安門広場に向かった。細い道を歩いていて女の子が言う。「中国って、別に寒くないのに、どこか寒々しいよね」と。周りにある木々はすべて枯れていて、葉っぱが付いていない。見るからに寂しそうな、孤立に耐えている木々があるだけだ。まるで日本のシャッター街のようだ。
 でも天安門広場に出るとやっぱり圧巻。でかくて広くて。そして周りに高いビルが一つもないから悠然とした感じが滲みでている。上手く言葉に出来ないけど、ここで缶蹴りとか追いかけっことかして遊んだら絶対に楽しいだろうなと思った。(あ、でも軍隊の監視員が常に駐在しているから怒られるな)
 その後、すぐに雑技を見に行った。劇場は既に一杯だった。チャンチィーが予約してくれていたので、すぐに入ることができた。値段は3000円弱。明かりが落ちて暗くなり、劇が始まった。
 男の演技と女の演技の二つのパフォーマンスが交互に入れ替わり立ち替わりで行われる。雑技としては、女性の方が妖艶で激しくて面白かったと思う(そもそも雑技をどうやって評価するのか僕は知らないけれど)。例えば、逸らせた自分の両足を、自分の頭の後ろに持っていきながら、お皿くらいの台に顔と顎だけを乗っけて体全体を支えるパフォーマンスは、見ているこっちが痛くなったくらいだ。
 
 他方、男の子の技が決まったときに見せる、小学生の学芸会のようなポーズは、何とも可愛い。彼らの演出は、オールドファッションでダサいなと冷ややかな目で見ながら、でも彼らは彼らなりにそれを真剣に演じているのだろうなと思うと、やっぱり「可愛い」という感情に落ち着くしかないのである。
 その後、中国の銀座と呼ばれる「王将井」に出かけて、中華料理を食べまくった。青島(チンタオ)ビールは激しく美味。軽くて薄くて飲みやすい。カンボジアで飲んだアンコールビールに似ている。ガブガブ飲めて、少し酔っ払った。きしめんのようなヌードルを食べて、ブタを食べて、豆腐を食べて……。
 そして、我々の旅行における汎用的な行動原理は、ここで確立した。
 「まぁ、もう誰にも一生、会わないんだから」
 「一期一会」を改変したと言い張る、某T居君によって生み出されたこの統一理論は、良くも悪くも、この後の旅行に大きな影響を与えることになった。「一期一会」でもう会わないのだから、だからこそ、いまこの瞬間に出会った人の人生にできるだけ関わっていかなければならないという美しいテーゼ。
 この原則は次のように我々(男だけ)を促した。「可愛いウェートレスを見たら、話しかけろ!」
 

ぐし Gushi について

Currently working for a Japanese consulting firm providing professional business service. After finishing my graduate course at Uppsala University in Sweden (2013), I worked for the European Parliament in Brussels as a trainee and then continued working at a lobbying firm in Brussels(2015). After that I joined the Japan's Ministry of Foreign Affairs, working in a unit dedicating for the negotiations on EU-Japan's Economic Partnership Agreement (EPA/FTA) (-2018). 現在は民間コンサルティング会社で勤務。スウェーデンのウプサラ大学大学院政治行政学修士取得、欧州議会漁業委員会で研修生として勤務(-2013年3月)、ブリュッセルでEU政策や市場動向などを調査の仕事に従事した後(-2015年3月)、外務省で日EUのEPA交渉チームで勤務(-2018年3月)。連絡先:gushiken17@hotmail.com
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毛主席を愛でる北京旅行1 への10件のフィードバック

  1. えふたか より:

    >可愛いウェートレスを見たら、話しかけろ
    次回が楽しみです。それにしてもチンタオ・ビールは凄く美味しいね。

  2. 某T居 より:

    ほんと楽しかったな、旅行。その日の夜は女の子までがつがつしててびっくりだったわ!天安門の壮大さと夜のライトアップには言葉も失う感覚だったね。
    「一生会わない」テーゼはこれからも活用しよう◎もっと絡めば良かったね笑
    コーアィコーアィ!!

  3. おぐし より:

    >えふたか氏
    書く時間がない。
    このまま一日目で終わるかも(笑)
    それにしても、チンタオビールをなぜ日本でも
    販売してくれないのか、あるいはそれと同じような味のビールを
    作ってくれないのか、謎。…あれば絶対に飲みまくるのに。
    >某T居氏
    料理、安くて美味かったね。回るテーブル、最高。
    また北京行きたいなぁ。
    「一生会わない」テーゼは、いま新歓で使いまくりです(笑)。
    コーアイコーアイ!!

  4. たっとー より:

    可愛いウェートレスを見たら、話しかけろ
    非常にいい心がけだと思います!!先輩を見習いたいと思います笑

  5. おぐし より:

    >たっとー
    人間として、基本だよね(笑)。
    どんどん見習ってください。

  6. えふたか より:

    バーミヤンで普通にのめるらしいぞ。チンタオビール。

  7. おぐっし より:

    >えふたか
     むむ、初耳。 バーミヤン行きたくなってきた。

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